全国で15日、一斉に狩猟解禁(来年2月まで)となった。高齢化などを要因に狩猟者の減少が、県内でも深刻化している。昨年12月施行の改正銃刀法で銃所持資格が厳格化され、今後狩猟離れが加速する可能性も指摘される中、行政の要請でイノシシやシカといった有害鳥獣駆除を行う猟銃使用者もいるだけに、鳥獣被害の増加を懸念する声が上がっている。
県猟友会の会員数は2009年度3407人。1978年度の1万2879人をピークに年々減少し、4分の1近くにまで落ち込んでいる。県警によると、県内の猟銃所持者も10月末現在2907人と、ここ5年間で2割以上減っている。
背景にあるのは、全国的に進む狩猟者の高齢化。環境省の統計では60歳以上が過半数を占め、同会事務局も「県内のハンターの平均年齢は60歳以上」と話す。娯楽の多様化などもあり近年、狩猟を始める若者はほとんどいないという。
改正銃刀法も狩猟者の“引退”に拍車を掛ける。改正で3年に一度の猟銃所持許可の更新時に精神科医の診断書提出や技能講習の受講が義務付けられた。同会の梅川博会長(75)=美咲町大戸上=は「講習受講などに費用がかかる上、手続きを面倒に思って更新しない会員が大幅に増える」とみている。
同会は行政の依頼で猟銃使用者が有害鳥獣駆除に当たる「駆除班」を設けているが、梅川会長は「いずれ班が編成できない状況が出てくる」。県自然環境課は「狩猟者が減ると有害鳥獣が増え、農作物被害の拡大や人里への出没増加につながりかねない」としている。
一方、銃を使わない「わな猟」「網猟」の狩猟者登録は増加傾向。農作物の被害対策に取り組む農家が多いという。