就任のごあいさつ

  本年4月1日に明和高等学校長を拝命いたしました久保芳孝でございます。伝統と実績のある本校に勤務できることを心から光栄に思っております。
 現在、学校教育は様々な課題に直面しています。その課題は、各教科・科目に関するいわゆる「学力」に関することから道徳教育やキャリア教育など個人の価値観や考え方に関することまで多岐にわたっています。とりわけ、本年度の課題としては、昨年3月に告示された学習指導要領に基づき新しい教育課程を編成することが第一にあげられます。現在、いずれの学校においても英知を結集して新教育課程への対応という作業に取り組んでいるところであり、こうした節目の時期に本校に赴任したことでも身の引き締まるような思いがいたします。
 さて、私には、学校を経営するうえで前任校時代から一貫して重視していることがあります。それは、授業の質を向上させるということです。いわゆる授業改善であります。
 授業改善という言葉を耳にすると、「それでは今までの授業が悪かったというのか。」という声が聞こえてきそうですが、決してそのような意味で授業を改善しようと言っているのではありません。私が意図する授業改善とは、先生方が生徒に身につけさせたい能力を明確に定め、そのためにはどのような授業を行えば効率よく目標を達成できるかを考え、授業を実施し、その成果を自己評価しながら、さらなる充実を目指すということであります。日々自らの授業を顧みてよりよい授業を目指すことにより、常に新鮮な気持ちで授業に取り組むこととなり、結果として生徒に確かな学力をつけることにつながると思います。
 昨今、社会が多様化・複雑化してくるにつれて、学校教育が対応しなければならない課題が質・量ともに過大なものとなりつつあります。その結果、先生方が配慮しなければならない、授業以外のお仕事が増大し、相対的に授業の準備や授業の評価に充てる時間が減少しつつあるのではないかという危惧を感じます。実は、このことは現代の学校における最大の課題なのです。
 学校の支柱は授業であるべきです。したがって、校長の第一の責務は、先生方がまず授業に全身全霊を打ち込むことのできる環境を整え、一流の生徒たちに対して一流の授業を実践していただくことだと認識しております。そして、授業の結果については、仮に所期の目標達成にまで至らなくとも、決して責任を他に転嫁せず、私たち自身が責任をもち工夫改善を重ねることが大切であります。
 本校の教科指導の一層の充実をお約束して就任のごあいさつといたします。

 愛知県立明和高等学校長
久保 芳孝