尖閣諸島沖の衝突事件の映像が流出した問題で、警視庁と東京地検は、「自分が映像を流出させた」と話している神戸海上保安部の海上保安官について、逮捕はせず、国家公務員法の守秘義務違反の疑いで任意で捜査を進める方針を固めました。
この問題で、警視庁と東京地検は、自分が映像を流出させたと話している神戸海上保安部の43歳の海上保安官から、15日、3日ぶりに任意で事情を聴くとともに、パソコンの解析や関係者の事情聴取を進めてきました。これまでの事情聴取に対し、海上保安官は「問題の映像は、巡視艇『うらなみ』の中で業務用のパソコンを使ってUSBメモリーに取り込み、神戸市内のインターネットカフェから動画投稿サイトに投稿して流出させた」と説明しているということです。動機については「国民に広く知ってほしかった」と話しているということです。警視庁と東京地検は、政府が一般には公開していない映像を職場の共用パソコンから入手した疑いがあることから、国家公務員法の守秘義務違反に当たるという見方を強め、15日、今後の捜査方針について協議を行いました。その結果、これまでの説明に事実関係と大きく違っている点はなく、みずから出頭していることから、証拠を隠したり逃亡したりするおそれはないと判断し、海上保安官を逮捕せず、任意で捜査を進める方針を固めました。問題の映像は、海上保安庁の中で、一時期、職員の多くが閲覧できる状態だったため、映像の秘密性が低いことも考慮したものとみられます。警視庁と東京地検は、海上保安官から引き続き任意で事情を聴くとともに、パソコンなどの解析や関係者の事情聴取を進めて、映像流出の詳しいいきさつや動機について全容を解明する方針です。