1980年2月に恐喝罪で起訴された後に保釈され、以後約30年間逃亡していた名古屋市東区の建設作業員、松本正一被告(69)の判決公判が8日、岡山地裁であった。宇田美穂裁判官は「短絡的で酌むべき事情はないが、30年間の逃亡生活を後悔している」として懲役2年、執行猶予4年(求刑・懲役2年)を言い渡した。
松本被告は公判で、「30年前のことで記憶が定かでない。記録があるのならそうだろう」として起訴内容について争わず、弁護側は「犯罪を犯さず、まじめに生きていた」と主張していた。
判決によると、松本被告は79年に知人男性から現金200万円や額面200万円の約束手形などを脅し取った。公判開始前の80年2月に150万円を払って保釈されたが、翌月行方不明となって保釈は取り消された。
松本被告は逃亡中、高速道路建設の日雇い労働で生活し、「裁判は時効になった」と思っていたという。刑事訴訟法では、公訴時効は事件の終わりから起訴までの期間に適用される。しかし松本被告は、起訴後に逃走したため時効の対象にならない。【石井尚】
毎日新聞 2010年11月8日 11時14分(最終更新 11月8日 12時27分)