任期満了に伴う福岡市長選は14日投開票され、自民、公明両党が支援した新人の元九州朝日放送(KBC)アナウンサー高島宗一郎氏(36)が、再選を目指した現職の吉田宏氏(54)=民主、国民新推薦、社民支持=や新人6氏を大差で破り、初当選を果たした。高島氏は歴代市長で最も若く、現役の政令市長で2番目、九州では最年少の市長となる。
菅改造内閣の発足後、10月の衆院補選に続いて、初の政令市長選でも民主党は敗北した。菅直人首相の政権運営に打撃を与えそうだ。投票率は43・67%で、前回を1・10ポイント上回った。
高島氏は知名度を生かし、「福岡をアジアのリーダー都市にする」と訴えた。吉田氏が進めた市立こども病院の人工島移転を「経過が不透明」と批判し、現職批判票を取り込んだ。自民党も党幹部を投入し、外交で不手際が続く菅政権を批判。民主党に不満を抱く無党派層にも浸透した。
吉田氏は「財政再建に道筋をつけた」と実績をアピールしたが、こども病院をめぐる反発などで、支持を大きく減らした。民主党政権の支持率低下の逆風も重なった。
市長選には戦後最多の8氏(いずれも無所属)が立候補した。前福岡市教育長の植木とみ子氏(61)が9日に「保守一本化」を図るとして選挙戦から撤退。高島氏に有利に働いたとみられる。
元佐賀市長の木下敏之氏(50)は「事業仕分けで市の無駄を削る」と訴えたが、知名度不足が響き、浸透できなかった。西福岡・糸島民主商工会事務局長の有馬精一氏(59)=共産推薦=と、元市議の荒木龍昇氏(58)、塾講師の飯野健二氏(49)、元人材育成会社講師の内海昭徳氏(32)は票が伸びなかった。当日有権者数は112万7359人(市選管調べ)。