北朝鮮、国連制裁をすり抜け武器を輸出(上)
安保理専門家が報告
国連による制裁措置にもかかわらず、北朝鮮が年間1億ドル(約82億円)相当の通常兵器や核関連技術などを海外に輸出していることが明らかになった。北朝鮮は国連制裁を避けるため、まるでスパイ映画のように、船や飛行機に貨物を積み替え、ペーパーカンパニーを作り、貨物の書類を偽造するなどといった手法を駆使した。
国連安全保障理事会決議の履行を監視するための専門家パネルは10日、報告書を通じ、こうした内容を指摘した。専門家らは、北朝鮮が国連の制裁下にあるにもかかわらず、シリアやイラン、ミャンマーなどに核兵器やミサイル関連技術、通常兵器、部品、物資などを輸出してきたと報告した。報告書では、さまざまな手法が指摘されている。
南アフリカ共和国は今年2月、ダーバン港で、「ブルドーザーのスペアパーツ」とだけ書かれたコンゴ向けの貨物から、T54/55戦車の付属品を発見した。追跡した結果、貨物の積み出し地は北朝鮮で、中国・大連港でイギリス船籍のフランス船に積み替えられた後、マレーシアのクラン港で、穀物の袋を積んだコンテナと共にリベリア船籍の船に再び積み替えられるという、複雑な過程を経ていた。この武器取引の背後には、国連制裁の対象になっている朝鮮機械貿易会社がいた。
昨年12月には、タイ政府がドンムアン空港で、240ミリロケット砲や地対空ミサイルなどおよそ35トンの武器を積んだ飛行機を摘発した。「145箱分の機械部品」と書かれた貨物から発見されたこれらの武器は、北朝鮮の平壌・順安空港を出発した「エア・ウエスト」社のチャーター機に積まれ、北朝鮮の高麗航空が運賃全額を支払った。
報告書は、各国政府や専門家らの資料を総合した結果、北朝鮮は年間1億ドル相当の武器を輸出していると推定した。昨年12月にバンコクで摘発された北朝鮮発の貨物に積まれていた武器だけでも1800万ドル(約14億8500万円)相当になることから、こうした推定には信ぴょう性がある、と報告書は付け加えた。
また同報告書は、「金融取引の内訳を隠すため、北朝鮮は海外の企業を利用したり、ペーパーカンパニー、人手による現金運搬などを用い、さらには非公式な伝達手段、物々交換まで、摘発を避けられるあらゆる方法を使用した」と記した。