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子宮頸がん 進まぬ理解
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受診低調、ワクチンも否定的
若い女性に発症例が増えている子宮
今月は子宮頸がん月間。専門医や患者団体は「正しい知識を身につけることが大切」と訴える。
発症の若年化
「検診を1度も受けたことがなかった」「予防できるとは知らなかった」――。9月末、東京都内で開かれた子宮頸がんに関する働く女性向けの講座。横浜市立大付属病院化学療法センター長の宮城悦子さんの講演を聞いた女性たちから、「初めて知った」という感想が数多く寄せられた。宮城さんは「病気に対する正確な理解が広まっていない」と話す。
子宮頸がんは子宮の入り口にできるがんで、日本では年間約1万5000人が発症し、約3500人が死亡していると推計されている。性交渉により感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が発がん因子で、性交経験がある女性の8割が、1度は感染するとされる。
かつては60代以降に多いがんだったが、最近は性交開始年齢の低年齢化などに伴い、30~40代が発症のピークに。若い世代の子宮頸がん検診の受診率が低いことも、早期発見・早期治療を阻んでいる。国は昨年度から、20歳から40歳までの女性に5歳刻みで検診無料券を配布しているが、今年10月現在、券の利用率は21・7%と低迷している。
一方、昨年承認されたHPVワクチンは、12歳前後の接種が推奨されている。接種費用が自己負担で高額なため、国は今年度の補正予算案に接種費用を助成する関連経費約1000億円を盛り込んだ。
抵抗感じる親
ただ、将来の性交渉を想定して10代前半の娘にワクチンを接種することに抵抗を感じる親が少なくない。インターネット上などでは、接種に否定的な意見や病気への誤解に基づく意見も目立つ。
卵巣がん・子宮がんの患者で作る市民団体「らんきゅう*卵宮*」代表の穴田佐和子さんは「原因ウイルスが性交渉によって感染することから『子宮頸がんにかかるのは性行動が活発な人』などといった、偏見や誤解が根強い。たった一人のパートナーからも感染の可能性があるということを理解し、娘の将来の健康のために行動してもらいたい」と訴える。
NPO法人「ティーンズサポート」代表で「ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ」院長の清水なほみさんは「今の親世代は、我が子に性のことを話したり教えたりすることに慣れていない。信頼できる産婦人科医に相談するなどして、正しい知識を得てほしい」と話す。
日本対がん協会(東京)は昨年度から11月を「子宮頸がん月間」としており、啓発に取り組んでいる。28日には京都府で専門医による公開講座を予定している。
(2010年11月13日 読売新聞)
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