尖閣諸島沖の衝突事件の映像が流出した問題で、警視庁と東京地検は、パソコンの解析や関係者の事情聴取などから、神戸海上保安部の海上保安官が問題の映像を入手し、流出させるまでの経緯がほぼ解明できたとしています。15日にも協議を行って、国家公務員法の守秘義務違反の疑いで逮捕すべきか、任意での捜査を続けるのか判断する方針です。
この問題で、警視庁と東京地検は、映像を流出させたという神戸海上保安部の43歳の海上保安官の話を裏付けるため、パソコンなどの解析を進めるとともに関係者から広く事情を聴きました。その結果、問題の映像が事件の10日後の9月17日、石垣海上保安部から第11管区海上保安本部を通じて広島の海上保安大学校に送られ、4、5日の間、ネットワークを通じて多くの職員が閲覧できる状態になっていたことがわかりました。さらに、この間に海上保安官と同じ巡視艇「うらなみ」に乗務する同僚が、ネットワークで映像を見つけて巡視艇の共用パソコンに取り込んでいたこともわかりました。海上保安官は、この映像を10月中旬に共用パソコンからUSBメモリーに取り込んで持ち出したと話していて、パソコンの解析で裏付ける記録が確認されたということです。海上保安官は、今月4日、映像を動画投稿サイトに投稿したと話し、理由について「国民に広く知ってほしかった」と説明しているということです。こうしたことから警視庁と東京地検は、海上保安官が「職務上知ることのできた秘密」を漏らした国家公務員法の守秘義務違反の疑いに当たるという見方を強めています。その一方で、検察内部では、逮捕の必要性や、映像がどの程度、秘密だったかなどをめぐって意見が分かれていて、警視庁と東京地検は、海上保安官を逮捕すべきか、任意での捜査を続けるのか、15日にも協議して判断する方針です。