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【滋賀】

鼻血か暴行か決め手欠く 米原殺人事件公判

2010年11月13日

傍聴券配布場所の横に張り出された裁判公開停止の通告=大津地裁で

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 12日に開かれた米原女性殺人事件の裁判員裁判の第5回公判。午前の森田繁成被告(41)の被告人質問は「公序良俗に反する」という理由で、傍聴者を入れない非公開で行われた。報道陣や傍聴に来た市民らは、午後1時まで法廷の外で待たされ、公判の内容についても裁判所から説明はなかった。午後には、県警科学捜査研究所(科捜研)研究員と鑑定人が証言。被告の車内に血痕がついた原因について見解を述べた。次回公判は15日午前10時から。

 かつて福岡県警科捜研で勤務し、生化学を専門とする大学教授が鑑定人として出廷した。鑑定人は、森田被告の車内の血痕について弁護側から、被害者の小川典子さん=当時(28)=の鼻血をふいた可能性、検察側から殺害前の初期の暴行でついた可能性をそれぞれ問われ、いずれの場合でも説明がつくと証言した。

 鑑定人は、助手席やゴム製マットで青白く光るルミノール反応の写真を示し「間違いなく陽性。ふき取ったあとが見られる」と述べた。「助手席のルミノール反応の血液は少量か」との弁護側の問いに「車内で殺害したほどの量とは考えない」と回答。「鼻血をぞうきんでふいたという説明は矛盾しないか」との質問に「1滴や2滴でも、ふき取ればこうなる」と述べた。

 検察側が「殺害前の初期暴行で流れた血の可能性は」と問うと、鑑定人は「それなりに説明できる」と答えた。

 被告の車の左後輪ブレーキドラムに残る小川さんの血痕について、坪井裁判長が写真での判断を求めると、鑑定人は「けってついた擦過傷ではなさそう」と述べた。

 被告は前日の公判で「典子さんが鉄をけった」「小川さんの友人が被告の車のタイヤ交換してくれた。戻ってきた小川さんが左足親指にばんそうこうをしていた」と説明し、タイヤ交換の際についた可能性を示唆していた。検察側は「後輪近くで小川さんの頭などをめった打ちにした際、血液が飛び、付着した」と主張している。

 一方で、検察側の証人として県警科捜研の研究員も出廷。ルミノール反応は1万倍に濃度を薄められたり、洗濯機で血を洗い流してしまえば検出されない可能性があることを証言。専門用語を使った難解な説明のやりとりに、裁判員はときおり険しい表情を見せていた。

◆傍聴人「非公開の理由説明を」

 非公開で行われた午前中の被告人質問。法廷の扉についた小さなのぞき窓も、白い紙で中から目張りされ、扉には「公開停止」の紙が張り出された。

 雨の中、傍聴券を求めて並んだ市民の中からは、被告人の話が聞けず、残念がる声が上がった。

 草津市の会社員多田尚史さん(45)は「昨日も傍聴して、聞けないのは分かっていた。非公開にすることがあるのは仕方がないと思うが、理由をかみ砕いて説明してほしい」と話した。

 野洲市のパート社員大木康至さん(62)は「事件に興味があって、休みを取ってきたのに、来てみたら非公開で驚いた。公平な裁判が行われているのか、気になる」と語った。

 

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