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文星芸大付(栃木)ニュース

「野球続けてよかった」入魂1球リリーフ 菊地香介投手

2007年08月19日

 9回表、「投手、菊地香介」が告げられた。右翼の守備位置からマウンドに駆けてくると、佐藤祥万投手から「ごめん」と声を掛けられた。言葉は返さなかった。心の中で「最後だけでごめん」と言った。「自分に力がもっとあれば助けられたのに」

写真9回表、初めての甲子園のマウンドで、1球で打者を打ち取った菊地

 佐藤投手のライバルとしてエースの座を競い合った。それでも、ずっと背番号「1」は佐藤投手だった。

 栃木大会では、4番打者として活躍し、チームを甲子園へと導くことができたが、投手としての登板は1試合だけだった。甲子園に来てからは、投球練習もほとんどしなかった。

 小さなころから毎年のようにテレビで見ていたあこがれの舞台で、思いがけず巡ってきた最後の夏のマウンド。2死二塁。サインにうなずき、捕手のミットを目掛けて直球をど真ん中に投げ込んだ。バランスを崩したが気持ちのこもった球に相手打者はつまり、二ゴロ。1球でしとめた。

 浦和学院から1年の冬に転校してきた。浦学の雰囲気になじめず「野球がつまらなくなった」。転入した文星では「楽しくやらなきゃ損」ということを学んだ。

 「受け入れてくれたみんなに感謝している。野球を続けていてよかった」。菊地投手の最初で最後の甲子園が終わった。


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