ここから本文エリア 黙秘一転、口開く/米原の汚水槽殺人2010年11月11日 【被告人質問/検察と対決へ】 米原市の汚水槽で昨年6月、女性の遺体が見つかった事件の裁判員裁判(坪井祐子裁判長)は10日、殺人罪に問われた会社員森田繁成被告(41)=同市坂口=の被告人質問があった。捜査段階で事件に関する内容についてはほぼ黙秘を続けたという被告。公の場で初めて事件前後の行動について口を開いた。 【弁護人方針「裁判員に直接語らせる」】 弁護人によると、昨年6月に逮捕された被告は、捜査当局の調べにほぼ黙秘を続け、弁護人の選任後は供述調書を取らせなかった。「本人が裁判員に直接語りかける」。それが弁護人の方針だった。 被告はこの日、これまでと同じ黒いスーツに青いネクタイを締めて出廷。交際相手の会社員小川典子さん(当時28)が殺害されたとされる昨年6月10〜11日の行動などについて、弁護側、検察側双方の質問に答えた。 検察側によると、小川さんは10日朝、被告の浮気を疑い「大事にしているものに一生償ってもらう」などと激しく罵(ののし)るメールを13回送信。被告が不倫関係を家族に暴露されるのを恐れ、殺意を抱きかねない状況に追い込まれていたと指摘している。 被告はこのメールをどう受け止めたのか。弁護人が尋ねた。 弁護人 「大事にしているもの」の意味は? 被告 そこまで考えなかった。すねているんだと思った。 弁護人 家族のこととは思わなかった? 被告 それはないと思います。 小川さんは10日夜、長浜市のJR高月駅付近で被告と会った後、消息を絶った。被告はその後の行動について、弁護人の質問に答えた。 午後9時ごろ、小川さんが「トイレ(に行く)」と言って被告の車を運転して置き去りにされ、捜していたところ同10時ごろ、元の場所でエンジンをかけっぱなしの車だけ見つけた。いったん帰宅して着替え、午後11時ごろ、車で再び小川さんを捜したが見つからず、翌日午前1時半か2時ごろに帰宅した――。 「小川さんと別れた」という被告の主張に対し、検察側は車の発見時の被告の行動について質問した。 検察官 なぜ真っ先に小川さんに電話しなかったの? 被告 窓が開いてましたし、その辺にいると思って周りを捜しました。 検察官 メールや電話をすればいいのでは。 被告 腹が立つ気持ちもあった。 検察官 じゃあ、捜さなきゃいいのでは。 被告 心配でした。 検察側の描くシナリオを、被告は否定していった。 被告人質問は予定の1時間を20分ほど超えた。被告人質問は11、15、16、17日にも予定されている。 【「現場に似た車」証言】 この日は被告人質問のほかに3人の証人が証言台に立った。 昨年6月10日夜、米原市伊吹の汚水槽脇の道路を走行したというトラック運転手の男性は、午後10時半ごろに森田被告の車と似た車が現場に止まっていたと証言した。「何百回も通った道で、夜に車が止まっていたのは初めて」と話し、検察官から被告の車の写真を示されると「似ています」と答えた。 小川さんの遺体が見つかった翌日の同13日、被告は長浜市の自動車修理会社に、助手席側のフロントガラスに放射状のひびが入った車の修理を依頼した。検察側は小川さんとのトラブルによるものと推察しているが、証人として出廷した同社の男性従業員は、被告から「大型トレーラーの飛び石をもらった」と説明を受けたと証言。しかし、「飛び石でこれほど広い面積にはならない。上から落ちてきたハンマーか何か(が原因)と思った」と話した。
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