邪馬台国:モモの種大量出土 最有力候補地・纒向遺跡

2010年9月17日 23時3分 更新:9月18日 1時7分

纒向遺跡から出土した大量のモモの種(手前)と土器(奥)=奈良県桜井市で、幾島健太郎撮影
纒向遺跡から出土した大量のモモの種(手前)と土器(奥)=奈良県桜井市で、幾島健太郎撮影

 邪馬台国の最有力候補地とされる纒向(まきむく)遺跡(奈良県桜井市)で、3世紀中ごろに掘られた穴「土坑(どこう)」からモモの種約2000個が見つかった。モモは古代祭祀(さいし)で供物に使われ、1カ所で出土した種の数では国内最多。卑弥呼(ひみこ)(248年ごろ没)の晩年から死後の時期に、モモを大量に使った国家祭祀が行われたことを示す成果と言える。

 17日発表した市教委によると、発掘調査は09年11月に確認された大型建物跡(3世紀前半)の南側465平方メートルで実施。建物を囲む柵列がさらに28メートル東に長いことが確認され、土坑も見つかった。

 土坑は南北4.3メートル、東西2.2メートル、深さ80センチの楕円(だえん)形。モモの種がまとまって見つかり一度に埋めたとみられる。一緒に祭祀用具とみられる土器や竹で編んだかごなども発見。果肉が残った種もあり、市教委は食べたものではなく、モモを竹かごに盛って祭祀に使った後、土坑に埋めたとみている。

 モモは、中国の道教で不老長寿や秩序を象徴する神、西王母(せいおうぼ)の食べ物。日本には弥生時代に伝わり、食用以外に不老長寿や厄よけのため祭祀に使われた。

 魏志倭人伝(ぎしわじんでん)には、卑弥呼は戦乱の倭国を治めるため「鬼道(きどう)を行い、人々をひきつけた」とある。辰巳和弘・同志社大教授(古代学)は「鬼道は道教を反映したもので、モモを大量に使った祭祀で西王母をまつった可能性がある」としている。【高島博之】

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