2010年9月17日 18時10分 更新:9月18日 0時55分
菅直人首相は17日、閣僚10人を入れ替える大幅な内閣改造を行い、菅改造内閣が発足した。1年前の政権交代時に民主党が掲げた「政治主導」「地域主権改革」などの立て直しを重視した布陣で「菅カラー」を打ち出した。党代表選で小沢一郎元幹事長を支持した鳩山由紀夫前首相のグループから2人を起用する配慮を示す一方、小沢グループからの入閣はゼロ。「脱小沢」路線への世論の支持を背景に「ねじれ国会」を乗り切りたい考えだが、党内に小沢氏ら「非主流派」を抱えながら、野党との政策協議を軌道に乗せられるのか。厳しいかじ取りを迫られる状況は改造前と変わらない。【平田崇浩】
「試行錯誤を繰り返した1年を踏まえて、具体的な事柄を実行していく『有言実行内閣』を目指す」。首相は17日夜の記者会見で宣言した。昨年9月の政権交代以降、迷走を続けた反省に基づく再出発。仙谷由人官房長官は閣僚人事の「目玉」を問われ、片山善博総務相、馬淵澄夫国土交通相、玄葉光一郎国家戦略担当相兼政調会長と列挙した。
片山氏は鳥取県知事を2期8年務め、徹底した情報公開などに取り組んだ「改革派知事」。民主党政権初の民間閣僚だ。代表選で小沢氏は「政治主導と地域主権は我々の主張の原点」として菅政権の取り組みの遅れを「国民への背信行為」と批判した。これをはね返したい首相は就任要請の電話で「地域主権改革を引っ張ってください」と片山氏の突破力に期待をかけた。
「自分が副総理兼国家戦略担当相兼政調会長でスタートするはずだったので、本来に戻ったと思っている」
首相は国家戦略担当相に起用した玄葉氏にはこう語りかけた。昨年9月に発足した鳩山内閣に副総理兼国家戦略担当相として入閣した際、政調会長に内定していたにもかかわらず、幹事長となった小沢氏が党政策調査会と政調会長ポストを廃止。政府と党の政策決定を一元化し、自らが中心となって政治主導を進める構想は小沢氏に阻まれた。首相にとって玄葉氏の人事は政権交代の原点に返ってやり直す意味がある。
鳩山グループからは海江田万里経済財政担当相と大畠章宏経済産業相の2人が入閣。旧社会党、旧民社党系の中間派グループにも配慮した人事は小沢グループの「冷遇」を際立たせ、「小鳩」分断を警戒する鳩山グループからは「海江田氏は半分、小沢グループだから(入閣は)1.5人だ」との声も漏れた。
「小沢系外し」の批判に対し、首相は会見で「適材適所の挙党態勢だ。小沢さんのグループは若い方が多い。副大臣・政務官を含めて全体の人事をやるので見ていただきたい」と反論した。しかし、代表選で首相を支持した馬淵氏は当選3回ながら国交相に抜てきされた。党代表選で訴えた「世代交代」の実践だが、小沢グループを逆なでする形にもなった。