2010年9月16日 21時53分
【ワシントン斉藤信宏】日本政府の円売り・ドル買い介入に対し、米議会から批判の声が相次いでいる。
米政府は「財務省の管轄なのでコメントしない」(ギブス・ホワイトハウス報道官)、「コメントを控える」(財務省高官)など、一様に静観の構えを見せている。だが米議会は、中国人民銀行(中央銀行)の介入で、中国人民元の切り上げが遅れているとの攻撃を強めている。15日の下院歳入委員会での人民元問題についての公聴会で、レビン委員長は「日本の介入が(人民元への切り上げ圧力の)深刻な障害になる」と不快感を表明した。
背景には、11月の中間選挙投票日まで2カ月を切る中、米景気は依然として先行きの不透明な情勢が続いていることがある。米国民の間では景気回復への有効打を放てない政府と議会への不信感が募っており、人民元の弾力化を拒む中国は、国民の批判の目を議会からそらす格好の攻撃対象と見なされている。
16日にはガイトナー米財務長官が上下両院の公聴会で証言する予定。日本の財務省は「介入前に米欧当局への理解を求めた」としているが、米議会にとっては「中国による為替操作への批判を強めようとしていた矢先に起きた予想外の出来事」(米議員スタッフ)。レビン委員長は「円ドル相場が1ドル=2円以上も跳ね上がった」と具体的な数字を示し、日本の通貨当局を強く批判した上で「今後の相場動向を注視していく」と警戒感をあらわにした。