短期保険証:8月時点で3万2961人に発行

2010年9月16日 21時33分 更新:9月17日 0時13分

 75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度で、保険料滞納者向けの「短期保険証」(有効期限1~6カ月程度)が、8月1日時点で3万2961人に発行されていることが分かった。労働組合や医療団体で構成する中央社会保障推進協議会(東京都)が調査し、16日発表した。制度を運営する都道府県の広域連合や自治体側では「滞納対策のため必要」との意見が強いが、同協議会は「受診抑制につながりかねず、『無保険のお年寄り』も生み出しかねない」と指摘している。

 同制度では、1年以上の滞納者に対し、特別の事情がなければ保険証の返還を求め、代わりに資格証明書を交付すると規定。だが、同証明書はいったん医療費全額を自己負担させる形になるため、厚生労働省は昨年10月、原則として交付しないよう通知した。このこともあり、国民健康保険制度でも使われる短期保険証が、保険証の代わりに滞納者に渡されてきた。

 中央社保協によるとこの短期証の発行が多いのは、都道府県別では、大阪5806件▽福岡5522件▽茨城1496件▽東京1407件など。大阪府の広域連合は「短期証も正規保険証と同様に使える。滞納者対策として必要な措置。更新のため滞納者と接触する機会が増え、納付を促せる」とする。

 一方、中央社保協の調べで、沖縄県では、期限の切れた保険証が更新されない人が8月1日時点で640人いた。短期証の交付後に更新手続きしていないケースとみている。

 同県は「短期証が期限切れの人も(保険適用と同様の負担額で)受診させるよう医療機関や市町村に伝えている」としているが、中央社保協は「短期証を交付された人は、低所得のお年寄りが多く、更新窓口に出向く交通費も準備できない人がいる可能性がある。結果として無保険となったり、短期証の有効期間中にも、治療期間中の期限切れを懸念して受診を控える人がいてもおかしくない」としている。【野倉恵】

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