もっさりさんのおうち

シベリアンジョーク集積所

しばらくお出かけ中もさ。

2010年07月31日

戦闘機の傾向

あまり面白くないもさ。

配備期間や各機体の重量割合グラフなどつけると面白いかもしれないもさが。


F-2支援戦闘機の調達終了後にどんな戦闘機を調達するか、という話もさね。

念のために書いておくもさが、「F-2の後継機」ではないもさ。
F-2が退役するのはかなり先の話もさ。

今回問題になるのは、主にF-4戦闘機の退役開始によって生じる戦闘機戦力低下をどうやって補うかと言う話もさね。
もし、数年来問題になっている
・敵地攻撃任務や
・洋上での脅威防空制圧
昔から問題になっている
・近接航空支援
などを追加し、航空自衛隊に課す任務を重くするのであれば「低下を補う」どころではないもさ。
そもそも難しくてモサには判らないもさね。


それはさておき、F-22やF-35をその候補として挙げる場合には戦闘機の国産化率の大幅な低下を受け入れるか、眺めの準備期間を置くか、それとも別の機体を並行導入してそちらをライセンス生産することになるもさ。

F-22やF-35を現状の日本の航空産業に生産しろと言うのは、1940年代の日本の航空産業にデ・ハビランド・モスキートを生産せよとか、
あるいはラボーチキンやヤコブレフの戦闘機を生産せよと言う以上の無理があるもさ。
1940年代の日本の航空産業にP-51やP-47を生産させるほうがまだ容易もさね。

何が言いたいかと言えば、アメリカの航空技術は突出して進歩しているだけでなく、ステルス機と非ステルス機の生産技術は金属製航空機と木製航空機の生産技術くらい、あるいはそれ以上に異質でもあると言う話もさ。
F-35はいろんな国で分担生産される予定もさが、アメリカ以外の国が生産を担当するのは主に在来構造の部分もさ。

「ヤコブレフ戦闘機の鋼管溶接フレームだけなら1940年代の日本でも生産できる」と言うような話もさ。


F-22であれF-35であれ日本で近い将来のライセンス生産することは出来ないもさ、国内航空産業を維持するつもりならば別の機体をライセンス生産するか、準備期間が必要もさね。
自国に航空産業を持たない国でも空軍を保持している事例はいくつもあるもさが、そのような国になるつもりであれば部品その他の供給体制を今とは異なるものに切り替える必要があるもさ。


さて、もし空自の任務を重くする場合であれば、どんな任務を追加するのかによって考え方が変わってくるもさ。
たとえば近接航空支援のためにAV-8BやA-10を導入するなんて考え方もあるもさね。
税金上がること必至もさが。

ただし、近接航空支援航空機としてAV-8系を導入する場合にはその航続力を補うために、海自の艦艇からの運用という事になるもさ。
日本の場合、短い滑走路で運用できる機体であっても野戦運用は出来ないもさね。
野戦飛行場の臨時設営や地上支援機材の移動、撤収の演習を日本の各地で普段から行えるなら話は別もさが、ほとんど考慮の余地がない話もさ。
同じ理由でJ-39グリペンの導入もありえないもさ。

スウェーデン製戦闘機を使っている空軍は、多数の飛行場を普段から用意できるからこそ使えるもさ。
日本の場合、それが成り立たないことは数値を挙げる必要もないもさね。


日本では航空部隊どころか戦車部隊の部隊機動さえ困難であると長年にわたって主張を続けている軍事評論家さんがグリペンを推しているのは、たぶんなんらかの笑い話もさ。

http://kiyotani.at.webry.info/201007/article_4.html



話をレシプロ時代に移してみるもさ。
イギリスのスピットファイア戦闘機、ドイツのMe109戦闘機は
日本の96式艦上戦闘機や97式戦闘機、
アメリカのP-36戦闘機、F4F戦闘機などと前後する時期に原型初飛行した機体もさ。
スピットファイアもMe109も設計変更を重ねつつ1940年代中ごろまで主力戦闘機の座を占め続けたもさね。

しかし、これと同じことは日本でもアメリカでも出来なかったもさ。
「ヨーロッパの戦闘機は改修を繰り返すことによる性能寿命延伸が行いやすく、日本やアメリカの戦闘機では困難である」
これはジェット時代にも成り立つこともさ。

そして、その一方で次のことも言えるもさ。
「ヨーロッパの戦闘機は日本やアメリカの戦闘機に比べ、広大な戦域への適応が難しい」

戦闘機の総重量に占める燃料重量、構造重量の割合を求めて見ると次の傾向が見られるもさ。

ヨーロッパの戦闘機  :構造重量割合が大きく、燃料重量割合が小さい
日本やアメリカの戦闘機:構造重量割合が小さく、燃料重量割合が大きい

このためにヨーロッパの戦闘機はより出力の大きなエンジンに換装したときに構造再設計範囲が小さく済むもさ。
前もって大出力エンジンに対応した強度を備えている場合もあるもさね。

一方、F4FのエンジンをR2800に換装しようとすると再設計範囲があまりに大きいもさ。F4F戦闘機には頑丈で重いと言う印象がもたれがちもさが、スピットファイアやMe109と同列には比較できないもさね。
実際にF4FにR2800エンジンを載せることが検討されたもさが、結局はF6Fが新規に設計されたもさ。

96式艦上戦闘機に栄発動機を積むために設計変更するよりも新設計して零戦を作るほうが合理的もさね。
もし97式戦闘機にハ115エンジンを載せようとすれば1式戦闘機になり、ハ41エンジンを載せようとすれば2式戦闘機が、ハ45エンジンを載せようとすれば4式戦闘機が出来上がるはずもさ。

ヨーロッパの飛行機メーカーの構造設計技術が日本やアメリカのメーカーに比して著しく劣るとか、日本やアメリカの航空用エンジンの燃費率がヨーロッパのそれに比して著しく悪いというわけではないもさ。
もしスーパーマリン社やメッサーシュミット社に日本やアメリカで使う戦闘機を1930年代中ごろに発注していたら、スピットファイアやMe109よりもずっと多くの燃料を搭載可能な、96式艦上戦闘機や97式戦闘機やF4Fと同様の軽量構造の戦闘機を作ったはずもさ。
逆に、グラマン社や中島、三菱にヨーロッパ向け戦闘機を発注していれば、原型の倍以上の出力を持つエンジンへの換装を想定した重い構造の機体を作ったはずもさね。


「想定される戦域に飛行場がどれだけの密度で存在するか」これは戦闘機の仕様設計に非常に大きな影響を与えるもさね。
要するに、性能寿命と航続距離とはトレードオフ関係にあるもさ。


この傾向は戦後も続くもさ。
アメリカ製のジェット戦闘機の中でもっとも航続力が短い機体はF-104とF-5、日本製ジェット戦闘機では三菱F-1もさが、同時期のヨーロッパのジェット戦闘機にはより航続力が短い機体があるもさね。
その一方、ヨーロッパのジェット戦闘機はエンジンや艤装品の換装を繰り返して長期に渡って使われている例があるもさ。



軍事評論家の中には、日本の戦闘機に長い航続距離が要求されることを「独自設計を正当化するためにこじつけた要求」と決め付ける人や、(性能寿命が長い)ヨーロッパの戦闘機を導入せよと主張した人がいるもさ。
しかしF-1やF-2は「千歳から宗谷海峡までフル装備で進出して戦闘を行い、三沢へ帰還する」ことを前提としているもさね。軍事評論家さんが推す機体に合わせて千歳や三沢から宗谷海峡までの距離を短縮する方法は、たぶん無かったはずもさ。
今でもグリペンに合わせて新田原から南西諸島までの距離を短縮する方法や、那覇から宮古諸島、八重山諸島までの距離を短縮する方法はたぶん無いはずもさね。
posted by 軍事板の筆頭もっさり TFR ◆IBMOSAtBIg at 16:07| Comment(10) | TrackBack(0) | 航空 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
比喩では「木造接着構造は当時の日本で造れない」となっていますが、現代において具体的にはどこが困難なのでしょうか?

比喩どおりのステンレス艦中央部にCFRP艦首、艦尾、上部構造を接ぐ研究は技本で行われたようですが、
そういう事を言っているわけではないんですよね?
Posted by at 2010年07月31日 16:42
金属構造とCFRP構造の接合は行えるもさ。

そのさらに外側の構造が困難もさね。
F-22にもB-2にも、現在日本では生産していない素材が多数用いられているもさね。
これらの接着工法も日本ではまだ確立されていないもさ。

もちろんアメリカ人も人間であり、同じ物理法則の上に立っている以上は時間と手間を費やせば同じことが出来るようになるもさ。

その準備期間が必要もさね。
歯切れの悪い説明で申し訳ないもさ。
Posted by もっさりさん(ブログ主) at 2010年07月31日 17:57
そういえば、F-22にコーティングが剥がれる欠陥があるとか何とか、元従業員が訴えた事件でちらっと出てましたが・・・

たしか、下地層の上に電波吸収層のウレタンフォームがあって、その上に放熱のための金属層でしたっけ。

戦闘機にウレタンフォーム??マッハで飛ぶのに?ジョークで作った車の外装じゃあるまいし・・・と思った記憶があります。

そこら辺のお話しでしょうか。
Posted by at 2010年08月01日 13:02
本格的なステルス機であるF-22とF-35がライセンス生産できないとして、低RCSを謳い文句にしているF/A-18E/Fとタイフーンはどうなんでしょう?この2機種なら日本でも問題なくライセンス生産できますか。
Posted by at 2010年08月01日 13:35
はじめまして。いつも興味深く読ませていただいております。
航空自衛隊の要撃戦闘機部隊の重要な任務の中には

:ALCMや爆撃機などの、日本本土からより離れた長距離洋上での阻止
:輸送船団の上空支援、特に有事に米本土からグアムなどを経由して来援するであろう米国の軍事輸送船団の安全確保(H-6などの接近阻止)
:海自の対潜哨戒機の護衛
:海自の水上部隊の護衛

などが含まれており、「我が国独自の環境と運用」を考慮すると
これらの任務のより円滑な遂行の為、長い航続距離とより優れたレーダーの搭載が可能な戦闘機が必要となる

したがって、「我が国独自の環境と運用」に適合した戦闘機というのはF-15の様な大型の長距離戦闘機であり、
義経の八艘飛び的なイメージから一般に人気のある、JAS-39の様な小型軽量戦闘機は
現状の航空自衛隊にとっては導入する意味の薄い機材である

という認識で居るのですが、これで大丈夫でしょうか?

Posted by at 2010年08月01日 13:44
要するに、長距離飛べる機体ほど燃料に重量を取られる分、
性能向上に割けるペイロードが減っているということなんですね。

そういえば、日本だとF-104導入後すぐ機体の容積不足で後継機が探され、80年代にはあっさり退役したのと対照的に、
イタリアは21世紀まで使った事例がありましたが、同じ機体であっても日米と欧州で扱いがまったく違いましたね。
Posted by 通りすがりのもさもさファン at 2010年08月01日 21:04
【予算】交付金減額は約927億円。大学の機能が停止する恐れ-23年度予算概算要求
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1279737810/
税金上げなくても、日銀に国債買わせりゃ良いみたいですよ。
何でも、デフレだから経済成長できないんだとか……
Posted by at 2010年08月04日 04:48
今回『戦闘機の傾向』のブログをWEBRONZAテーマページにリンクさせていただきます。不都合な場合、WEBRONZA@asahi.comにご連絡ください。
宜しくお願い致します。

WEBRONZA編集部
Posted by WEBRONZA編集部 at 2010年08月04日 16:22
こんにちは。
いつも興味深く記事を読ませて頂いています。

ステルス機の開発には、構造設計段階からの様々な配慮が必要と耳にしますが、
今回のステルス機の製造技術に関する情報からは、その一旦が垣間見えたような気がしました。

ある軍事評論家の性能寿命の長いヨーロッパ製の機体を導入せよ、との主張については、
私も納得がいきません。
既にアメリカ製で
・F-4
・F-15
・F-16
等の性能寿命が長い機体が存在していますし、
私のような素人でも、日本の国土を防衛する上で戦闘機の航続距離が重要なことは理解できますので…。
Posted by at 2010年08月07日 02:29
>↑

現在の所F-35の戦闘行動半径はF-16に及ばず、ASMは機外兵装になるなど我が国の運用形態ではグリペンはともかくタイフーンに対するアドバンテージはあまり感じられないように思います。
もっとも最近はCFTが大流行りですからエンジン出力に余裕があれば進出距離は稼げるものとは思いますがその分加速が・・・ですね。
Posted by 雨辰 at 2010年08月07日 07:11
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