【東京】多くの難問を抱えたオバマ米大統領は12日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のため横浜に到着するが、日本では安全保障面での関係改善など、いくつかの歓迎すべきニュースに触れることだろう。
日米両国は沖縄の米軍基地移転問題で依然として厳しく対立しているが、両国の当局者は、舞台裏ではいくつかの面で微妙ながら迅速な改善が見られたと述べている。
両国政府は、軍隊の役割、任務、その能力の意味を明確にするための、これまで行き詰まっていた対話を再開した。日本政府は昨年、在日米軍を支援するための予算(思いやり予算)の削減を提案したが、他の予算は財政赤字拡大の中で削減を余儀なくされている中で、今では米軍向け支出は削減しない方針を固めた。
安住防衛副大臣は「画一的な予算削減の環境の中でHNS(思いやり予算)は特別に保護されている」とし、「これは米国への重要なメッセージになるだろう」と語った。
菅政権はまた、国境を越えた米国との共同武器開発を発展させるため、武器輸出禁止の緩和にも動いている。当局者によると、この構想は防衛力整備5カ年計画と戦略防衛構想に含まれる公算が大きいという。これらのガイドラインは最終的に米国からのF35戦闘機と無人偵察機の購入につながる可能性がある。
沖縄の米軍基地問題が地方政治の中で行き詰まっているとしても、日本政府のこの問題について見解は大きく変わってきた。日本政府は今や、米軍基地を何らかの形で沖縄に残す方針だ。
内閣府の顧問である白石隆氏は「2国間同盟の維持はガーデニングのようなものだ」とし、「頻繁に世話をしてやらなければ、枯れてしまう」と述べている。
ただ、すべての日本の当局者がこれほど楽観的というわけでもない。1年前に親米の自民党を打ち破って初めて政権の座に就いた中道左派の民主党は米国に相反するメッセージを送り、一方で日本領海内への中国の侵入を許している、との批判がある。自民党の岩屋毅氏(自民党の影の内閣の防衛相)は「民主党は誤ったメッセージを同盟国の米国に送り続けている」とし、「中国は日米関係の基盤が不安定だと見ており、これに乗じている」と指摘している。
日米関係の新しいトーンは、先日11月の涼しい夜に東京湾に浮かぶ海上自衛隊特務艇「はしだて」で行われた日米安保条約改定50周年記念懇談会ではっきりと見られた。
これには両国の文官、武官が参加。ルース駐日米大使と北沢防衛相は礼儀正しく謝辞を交換し、同盟の永続的性格を述べていたが、大使の出身地であるサンフランシスコを地盤とするサンフランシスコ・ジャイアンツがワールドシリーズで勝利を収めたことから、大使は万歳を叫び、外交儀礼は中断。あとは日本酒も酌み交わす大騒ぎとなった。
新米国安全保障センター(ワシントン)のパトリック・クローニン氏は「鳩山氏は両国が同じ考えなのかどうか疑問を呈した」としながらも、「この(懇談会での)哄笑は同盟に蘇り、両国間のコミュニケーションにも蘇ったのだ」と述べた。