中国の胡錦濤国家主席は13日、横浜市内のホテルで講演し、中国をはじめとするアジア太平洋地域の新興市場が世界経済に果たす役割を強調するとともに、さまざまな課題を抱えていることに国際社会が理解を示すよう求めた。気候変動問題や人民元改革などで、中国がより大きな負担をすべきだという国際社会の動きをけん制したものだ。沖縄県・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件や日中関係への言及はなかった。
APECに参加する21カ国・地域の経済界のリーダーらによる「APEC・CEO(最高経営責任者)サミット」での基調講演で、タイトルは「アジア太平洋地域の新興市場」。胡主席は「アジア太平洋地域の急速な発展は国際的な金融危機以後、世界経済の回復促進に重要な役割を果たしてきた」と強調した。
そのうえで、「この地域の生産力はいまだに低く技術革新も遅れている」と指摘。「発展の段階に合わない義務を負わせることは市場の発展を損なうことになる」と述べた。【成沢健一】
毎日新聞 2010年11月13日 東京夕刊