2010年11月13日15時7分
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が13日午後、横浜市で始まった。朝日新聞が入手した首脳宣言「横浜ビジョン」案によると、地域の将来の形を「(貿易障壁のない)継ぎ目のない共同体」と表現するなど三つの共同体像を提示。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)といった広域連携などを軸にその実現を図ることを明記する。規制緩和など域内の成長戦略も「2015年までの行動計画」として盛り込む方向だ。
議長を務める菅直人首相は13日午前、日本経団連主催の関連行事で、「日本の繁栄はアジア太平洋とともに歩むことを抜きには考えられない」とあいさつ。TPPへの参加に向けて関係国と協議を始める考えも表明した。
会議は最終日の14日に「横浜ビジョン」を採択する。今回のAPECは、1994年にインドネシアでの首脳会議で合意した「先進国は2010年までに貿易・投資の自由化を達成する」としたボゴール目標の達成状況を評価する年に当たる。宣言では、これまでの取り組みを「アジア太平洋地域の貿易・投資の流れを加速させ、持続した経済成長に導いた」と評価する。
そのうえでAPECが目指す将来の姿として、(1)経済統合をさらに進める継ぎ目のない共同体(2)質の高い成長をする強い共同体(3)安定した経済と社会環境をもたらす安全な共同体、の将来像を示す。
「継ぎ目のない共同体」は関税や投資規制など人・モノ・カネの流れを妨げる障壁を取り除くことを意味する。
APECがまとまって関税引き下げなどを進めるアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現に向け「具体的な歩みを始める」とも言及。その戦略として、9カ国が交渉中のTPPや、東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3カ国(日本、中国、韓国)、ASEANプラス6カ国(日中韓とオーストラリア、ニュージーランド、インド)といった既存の広域連携の推進を掲げる。
「強い共同体」の実現では、APECとして今回初めて、持続可能な経済発展を遂げるための成長戦略をつくる。規制緩和など構造改革や、女性の雇用機会拡大などを進める行動計画を策定。貿易収支の不均衡や、国・地域によって気候変動に取り組む姿勢がばらばらな点なども指摘し、改善を促す。(小暮哲夫)
■APEC首脳宣言「横浜ビジョン」案の骨子
(1)ボゴール目標の評価
貿易・投資の自由化の取り組みを評価。アジア太平洋地域が「世界経済のエンジン」になったことを確認
(2)APECの将来像と道筋
【継ぎ目のない共同体】
アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現に向けて、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)などの広域連携を推進
【強い共同体】
持続可能な成長戦略「2015年までの行動計画」を策定。規制緩和や女性の雇用機会の拡大に努力することを確認
【安全な共同体】
貧困の削減、テロや災害対策、食料確保などでの協力を強める