今回のAPEC=アジア太平洋経済協力会議で最大の焦点だった日中首脳会談は、急転直下、13日午後に実現が決まりました。
(青木俊憲記者報告)
(Q.中国側がこの段階で会談を受けた背景は)
中国は、日中関係修復のタイミングを探っていました。こうしたなかで、菅総理大臣がホストを務めるAPECというのは、中国側にとっても自然な形で会談につなげるチャンスでした。そのため、反日デモはこのところ封じ込めていて、また、尖閣の衝突ビデオの映像が流出した後も特に抗議などをせず、会談ができる雰囲気を維持してきました。また、日本との関係悪化が長引くと経済などへも影響があります。そして、国際会議の場で強硬姿勢を保ち続けることは、イメージダウンにもつながります。ギリギリまで揺さぶり続けて、ホスト国の面子を立てることで日本に大きな貸しが作れるという計算が働いたということも考えられると思います。
(政治部・山下達也記者)
(Q.突如、決まった日中首脳会談について、日本側はどのように受け止めているのか)
まず、日中首脳会談は、午後5時40分からロシアのメドベージェフ大統領との会談がセットされているので、時間的にはわずか15分ほどしかありません。とはいえ、周辺によると、菅総理は会談に強い意欲を燃やして指示をしてきたので、結果を何とか出した形ではあります。胡錦涛国家主席とは6月に会談し、戦略的互恵関係の進展やハイレベル協議の促進で一致し、菅総理も周辺に「会談を上手く仕切れた。良い関係だった」と自信を見せていました。菅総理としては、先月にドタキャンされた温家宝首相ではなく、最高首脳の胡主席との直接対話で関係修復に踏み出したい考えです。ただ、短時間とみられる会談で実質的な議論をする時間はほとんどなく、最後まで中国側に振り回された形です。