最終更新: 2010/11/14 16:21

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TPP(環太平洋経済協定)について、慶応義塾大学・渡邊頼純教授の解説です。

13日から、APEC首脳会議が始まりました。その焦点となるのが、TPP(環太平洋経済協定)への日本の対応ということになりますが、このTPPについて、慶応義塾大学・渡邊頼純教授に話を聞きました。

(TPPのキーワードが、「ペアよりグループがお得!」ということだが、これはどういうこと?)
前回も、この日本とメキシコの経済連携協定のお話をいたしました。
その結果、アボカドとかマンゴーが日本で安く手に入るようになり、また、日本の自動車の輸出が増えたというお話をいたしました。
ただ、貿易をさらに活発に行うには、より多くの国の参加が鍵となるということがございます。

(実際の例として、エアバス社の航空機は、コックピットはフランス、主翼はイギリス、そして尾翼は主にスペインと、さまざまな国の部品が集まってできている。そして、これらの国が属するEUの中では、取引をする際に、関税がかからない。その結果、それぞれの国の持ち味をより発揮できる、消費者にとっては安くてよい製品が生まれる環境ができた。航空機1つとっても、これだけ多くの国がかかわっているわけだから、2国間で話し合うというよりも、まとまって話した方が効率が良くなる?)
まさにその、ペアよりもグループということだと思います。貿易を自由にする仲間が増えれば増えるほど、貿易のメリットは大きくなります。
このような状況をAPECの中でも作り出そうとするのが、TPPなんですね。

(このTPPへの参加は、そんなに急ぐ必要はないという声もあるが、参加を急ぐ理由というのは、何かあるのか?)
実はですね、やっぱりこの交渉に早く参加することによって、さまざまなメリットがあるように思います。
まずTPPは、すべての関税をゼロにするというのが大原則ですけれども、原則には必ず例外がつきものです。
アメリカでさえ、砂糖であるとか、乳製品とか、やっぱり守りたいものがあるんですね。ですから、日本が守りたい農産品を例外扱いにする、そういう話し合い、交渉を行う可能性が出てくるわけです。

(完全に例外がないというわけではない?)
その通りだと思います。もう1つは、日本の得意分野、これを売り込んでいけるということがあります。
日本は工業製品だけではなくて、例えば運送サービス、教育サービス、インフラ、こういったようなところで強みを持っております。
ですから、このサービス産業の分野などについても、早い段階から交渉を有利に進める、そのことが重要だろうと思います。

(このルールづくりも早い者勝ちというところがあるのだろうが、今の日本の現状は、このTPPに、「はい、参加します」と、明確に言えるような状況にはない?)
そうですね。今の状況を、TPPを手こぎの船に例えて説明をいたしますと、この21人乗りの「TPP号」、すでに9人が乗船をしております。
まさにこの9人というのは、TPPにすでに参加表明をした国々でございます。
ここに日本も乗るように誘われているわけなんですけれども、日本はまだ、陸の上で様子を見ているという、そういう状態です。
他方、船の上では、どんどんこのTPPのルールづくりなどについて、話し合い、交渉が行われています。
しかし、日本は遠くから呼びかけているんですけれども、日本の声はなかなか届きません。
さらに、あの船に乗るのは危ないぞということで、乗船を引き止めているのが、農業であったり、漁業、林業ということになります。
しかも船は、日本がもたもたしている間に、出発してしまいます。
話し合いにも参加できないまま、置いていかれる立場にあるんではないかなと、心配になるわけですね。
こうなったら、船の外からあれこれ言っているのでは駄目で、ほかの国と同じ立場で話し合いを行い、その中で議論をリードするという姿勢が、重要ではないかなと思います。

(今の話からも、世界と同じ船に乗るためにも、まず日本の農業や漁業などの分野を、どういう形に未来に向けてしていくのかという、1つのビジョンを示さないと、それが急務という感じがするが?)
おっしゃるとおりだと思います。

(11/13 20:04)


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