2010.11.13 21:15
アジア太平洋経済協力会議(APEC)の焦点である経済連携をめぐり、首脳間の駆け引きが激化している。勢いづくのは、将来の域内経済統合構想につながる有力な枠組みとされる環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)陣営。菅直人首相が参加に強い意欲を示したほか、新たに関心を示す首脳も相次ぐ。逆に、東南アジア諸国連合(ASEAN)を軸にした枠組みを推す中国の胡錦濤国家主席は対応に苦慮しそうだ。
菅首相は首脳会議前の会合で「アジア太平洋地域とともに成長の道を歩むことを抜きに日本の繁栄は考えられない」と述べるとともに、「日本は再び大きく国を開く」と語り、米国が主導するTPP参加を目指す考えをにじませた。
直後に講演したオバマ米大統領は「日本がTPPに交渉チームを送ることをうれしく思う」と歓迎。その背景には、日本が参加すれば現時点で国内総生産(GDP)1位の米国、2位の日本が入る巨大な枠組みとなり、一気に存在感が増すという期待感もある。
実際、TPP交渉に参加する9カ国の首脳は、ほとんどが日本の参加に好意的だ。中には「(日本の参加決定は)早い方がいい」と語るシンガポールのリム通産相のように、日本が手間取る国内調整を急ぐよう促す声もあるが、日本の姿勢がTPP陣営を勢いづかせたことは確かだ。