13日、横浜でアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議がスタートした。21カ国・地域の首脳が参加する。会議に出席するメドヴェージェフ露大統領の右隣には、フィリピンのベニグノ・アキノ大統領、左隣にはシンガポールのリー・シェンロン首相が着席している。
穏やかな雰囲気の中、緊迫した議論が行われている。サミットのテーマは「チェンジ・アンド・アクション」。世界的な経済危機の克服や、貿易システムの多面的な支援の仕方、経済統合の拡大、食糧問題やエネルギー問題などを含めた個人の安全確保の強化が審議されている。プリホチコ露大統領補佐官は、サミットでメドヴェージェフ大統領は、これらの問題におけるロシア側の立場を表明するほか、世界経済における不況を克服し今後このような事態を繰り返さないために、ロシアはAPECサミットで貢献する用意があることを保障すると伝えている。
会議の課題のひとつが、「ボゴール目標」実現のプロセスに関する宣言を採択することだ。今から16年前、インドネシアのボゴール宮殿で、「先進エコノミーは2010年までに、途上エコノミーは2020年までに自由で開かれた貿易及び投資という目標を達成する」とした宣言が採択された。このプロジェクトを実現する上での困難について、ロシア科学アカデミー極東研究所のアンドレイ・オストロフスキー副所長は次のように語る。
―APECに加盟する国と地域は経済発展のさまざまな段階にいる。1994年のボゴールサミット、1995年の大阪サミットで計画されていた自由で開かれた投資を達成するという発展プログラムがいまだ実現されていないのもそのためだ。すべてのプレーヤーを対象とした共通のルールを作ることが必要だが、国益争いが、共通した行動計画を策定するのを阻害している。
横浜でのサミットではこの行き詰まり状態から抜け出す道筋が模索される。ロシアのアレクセイ・クドリン財務相は、それが見つからなければ、この分野での新たな問題を引き起こされることになるだろうと指摘する。
―各国は、自国を保護するため、別の方策を講じるようになるだろう。それは、自国の市場を守るために輸出を制限するなどといった措置で、そうした措置は新たな保護主義の波を生むだろう。他の国を犠牲にして、利益を得るようなシステムではなく、各国が利益のバランスを保ちながら、ともに前進できる道を見つけなければならない。
これに関連して、ロシアのセルゲイ・プリホチコ大統領補佐官は、「ロシアは、自由貿易圏の創設において、その統合プロセスに参加するすべての国が対等であること、またすべての参加国の利益が考慮されるよう一貫して主張する」と述べている。また補佐官は、ロシアはこのテーマをめぐる横浜での対話が成果を生むよう尽力する用意があるとも指摘した。APECサミットでロシアがこのテーマに関心を示すのは、ロシアにとって、世界貿易機関(WTO)加盟が対外経済分野における最優先事項のひとつであり続けているからだ。