2010年11月13日22時46分
日中首脳会談を前に厳しい表情で握手する中国の胡錦濤国家主席(左)と菅直人首相=13日午後、横浜市西区のパシフィコ横浜、代表撮影
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が13日に始まり、菅直人首相は会場となった横浜市内で中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席と22分間会談した。
10月初旬、首相はブリュッセルで温家宝(ウェン・チアパオ)首相と約25分間非公式に会談した。だが、下旬にハノイで予定された首脳会談は直前になって中国側からキャンセルされ、翌日に約10分間意見を交わした。
日本側は今回の会談について「日本としては正式な会談だと受け止めている」(福山哲郎官房副長官)とし、首脳会談の実現を契機にさらなる関係改善をめざす構えだ。
中国外務省も同日、「正式な会談」と位置づけた上で、「友好的、協力的な関係を進めることが両国民の根本的な利益にかなう」とする立場を表明した。
福山副長官の説明では、両首脳は会談で(1)長期的に安定した戦略的互恵関係の推進(2)政府間、民間分野での交流促進(3)経済分野も含めた地球規模の課題での協力強化に取り組むことで合意した。
また、尖閣諸島をめぐる問題について、福山氏は記者団に「首相は日本の確固たる立場を伝えた」と語り、「この領域に領有権問題は存在しない」との従来の政府方針を伝えたものとみられる。ただ、胡主席の反応を含め、会談の詳細については「外交上の理由から差し控えたい」として明かさなかった。
日中首脳会談に先立ち、首相はオバマ米大統領と約1時間会談した。首相は冒頭、「日中、日ロ間で生じた問題について、日本を力強く支持していただいたことをうれしく思う」と謝意を表明した。
さらに両首脳は「日米同盟の深化」を確認し、海洋権益拡大を図る中国を主要テーマに取り上げた。大統領は「中国が経済的に台頭していることは歓迎する」としたうえで、「中国が国際社会の一員として国際的なルールの中で適切な役割、言動を行うことが重要だ」と指摘。首相も「その通りだと思う」と述べ、中国を牽制(けんせい)した。
また、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)について「双方がより安定的で効率的、効果的なものにする」との方針で一致。菅内閣が交渉参加に前向きな環太平洋パートナーシップ協定(TPP)について大統領は「歓迎する」と表明した。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題では、5月の日米共同声明を着実に履行する方針を改めて確認した。