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【日中首脳会談】胡指導部、保守派からの批判を懸念 国際イメージへギリギリの損得勘定
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の第1セッションが終了した13日夕方になって、中国の胡錦濤国家主席が菅直人首相との会談にようやく応じるなど、ギリギリまで日本を振り回し続けた中国の思惑はどこにあったのか。(河崎真澄)
日本の外務省高官は「首脳会談が実現したことの意味は大きい」と話す。だが胡主席と周囲には、「日中首脳会談が中国国内からの批判にさらされないか」とする国内問題が念頭にあったとみられ、中国側には「首脳会談」との認識はない。
尖閣諸島問題で反日感情がいまなおくすぶる中、胡主席が「雪解けムード」を演出したように受け止められると、世論の反発を招く恐れがあることに加え、2013年春に退陣する胡指導部のレームダック(死に体)化を狙う保守派を勢いづかせることになりかねないからだ。
胡主席は13日午前、横浜市内で開催中の最高経営責任者(CEO)サミットで演説し、「新興国には経済発展の道で特色がある」などと述べ、市場経済を追い求めるにしても、民主主義国家とは異質な路線を模索する中国の“大国ぶり”も誇示してみせた。
現在の日中間の問題の一つはパイプの細さにある。中国側も自民党政権時代にはパイプを通じ国内事情などホンネを伝え、メンツを立て合う根回しが可能だった。しかし民主党政権との間のパイプは細い。
今回、民主党政権に代わり土壇場で説得したのは外務省の斎木昭隆アジア大洋州局長など事務方だった。同日午前、斎木局長らは中国側代表団が滞在する横浜市内のホテルを訪れて関係者と協議。ホスト国との首脳会談を拒絶することによる中国の国際イメージの低下などを訴えたという。
じらした結果、国内向けと国際社会をにらんだぎりぎりの損得勘定で最終的に菅首相と会った胡主席。対日姿勢を好転させる契機になるかは予断を許さない。