アジア太平洋経済協力会議（ＡＰＥＣ）首脳会議が始まった13日、会場となった横浜・みなとみらい21（ＭＭ21）地区や、首脳夫人が訪問した鎌倉は厳戒態勢が敷かれた。神奈川を代表する観光地は物々しい雰囲気に包まれ、「客足が落ちた」と商業関係者から嘆き節も。県警によると、会場周辺で行われた会議反対などのデモ参加者は約４千人に上ったが、混乱はなかった。

　会議場のパシフィコ横浜とは目と鼻の先、横浜ランドマークタワー。テナントのレストランバー従業員（31）は「今週は平日の昼で客数は２割、夜は半分に減った感じ。今日も通常の土日の半分ほど。ＡＰＥＣ関係者が客としてくると思ったが、来なかった。正直、痛い」とあきらめ口調。「厳戒態勢を知っているので、あえてＭＭ21地区には来なかったのでは」と話した。

　みなとみらい駅改札口近くの飲食店の女性（30）も「売り上げが５分の１に減った。経済的効果があるといわれるが実感できない」と嘆く。

　パシフィコ横浜の道路向かいに立つマンションに住む主婦（63）は、「昼夜を問わずヘリコプターが飛んでいます。（首脳会議が始まった）13日は、それまでとは違う緊張感が警察官にも漂っている」と警備の厳しさを肌で感じる。「こんなに大きな国際会議で横浜をアピールできるのならば、開催は良い事だと思う。ただ、何事もなく終われば、ですが。信じています」

　札幌市から母親と横浜観光に訪れている女性（28）は「物々しい雰囲気で驚いた。あすは東京観光に切り替える」という。

　国内最大のチャイナタウン、横浜中華街。老舗飲食店の従業員も「客足は普段の休日から２割減。予約以外のお客さんはほとんどない」と渋い表情だった。

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　鎌倉でも、上空には多くのヘリコプターが飛び交い、鶴岡八幡宮の入り口付近では多数の警察官らが警戒に当たり交通整理などを行っていた。

　大安の土曜日とあって七五三の参拝客も多く、鶴岡八幡宮によると約７００～８００組が参拝し「数としては例年並み。規制などの影響がもっと出ると思っていたが、ほぼ通常通りだった」という。

　各国首脳夫人らの訪問を知らなかったという横浜市西区の主婦は「警察官が多くて何事かと思った」。市内を走行する人力車の男性は「走行できない場所もありお客さんはいつもより４割ほど減ったが、仕方ないですね」と話していた。

　鎌倉市によると、菅伸子首相夫人は「七五三シーズンに交通規制などでご迷惑をお掛けました」などと話していたという。

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　この日の警備は、特別派遣部隊を含めて、期間中最大となる２万１千人の警察官を投入。県警によると、会場周辺で行われたデモは９行動で１日のデモ数としては北海道洞爺湖サミット（２００８年）を超える規模となったという。

　警備関係者は「申請された以外の無許可のデモなどもなく、無事に終わった」とひとまず胸をなで下ろした。小競り合いなどのトラブルもなかったという。

　デモでは、労働組合や市民団体が呼び掛けた「『いらない！ＡＰＥＣ』横浜民衆フォーラム」が、「貧困と格差を生み出すＡＰＥＣに反対」と訴えた。また、中国漁船衝突事件をめぐって、市民団体「頑張れ日本！全国行動委員会」などの主催で約２７００人がデモを行った。