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「運命を共有」雇用増へアジア重視 オバマ米大統領演説

2010年11月14日1時41分

写真:13日朝、横浜市の「APEC CEO サミット」で演説するオバマ米大統領=尾形聡彦撮影13日朝、横浜市の「APEC CEO サミット」で演説するオバマ米大統領=尾形聡彦撮影

写真:記念撮影のため並ぶ各国首脳ら=13日夜、横浜市西区のパシフィコ横浜、代表撮影記念撮影のため並ぶ各国首脳ら=13日夜、横浜市西区のパシフィコ横浜、代表撮影

 「我々は運命を共有している」――。オバマ米大統領は13日の横浜市での演説で、アジア・太平洋地域との経済関係の深化に全力を注ぐ姿勢を示した。「米国にとって、これは雇用(創出)戦略だ」として、アジアへの輸出拡大を通じて、雇用情勢を改善する考えを前面に掲げた。オバマ氏のアジア重視は、2日の米中間選挙で歴史的な敗北を喫した苦境の裏返しでもある。

■輸出狙い「内需」促す――「対米輸出、繁栄の道ではない」

 オバマ大統領は13日朝、日本経団連によるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の関連行事「CEOサミット」で演説し、アジアの経済界に輸出増に向けた意欲を直接話した。

 大統領は、米国が今後5年で輸出を倍増させる「国家輸出戦略」を進めていることを説明。「それが、今週アジアを訪れた理由の大きな部分だ。この地域で、輸出を増やすことに米国は大きな機会を見いだしている」と指摘。中国やインドなどの新興国の存在で、世界経済を引っ張るアジア地域を重視していることを率直に語った。

 米国がここまで輸出増にこだわるのは、金融危機以降の米経済は、以前のように「米国人の旺盛な消費」に経済のエンジン役を期待できなくなっているからだ。米国の失業率は9.6%と高水準が続く。米国民は住宅価値の下落に伴う逆資産効果と、借金の返済に苦しんでいる。実質国内総生産(GDP)は5四半期連続でプラス成長を記録しているものの、GDPの7割を占める個人消費は力強さを欠いたままだ。

 それだけに、オバマ大統領は「今後は、どの国も、米国への輸出が繁栄への道だと、思うべきではない」と訴え、中国や日本などの輸出国に、内需拡大に注力するよう強く促した。危機を招いた世界経済のバランスの悪さを改善すると同時に、中国などの内需が拡大すれば、米国からの輸出が増えるとの期待がにじむ。

 さらに、大統領は「輸出が10億ドル増えるごとに、米国では5千人分の雇用が支えられる」と説明。輸出増で、雇用情勢を改善させたい考えをあらわにした。APECや、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加に力を入れている理由も、「米国で新たな雇用を生み出す機会を失いたくない」からだという。

 米国民の間では、雇用・経済問題が最大の関心事だ。雇用情勢がなかなか好転しないことが、中間選挙での大きな敗北につながっている。大統領の「アジア重視」「輸出増の訴え」は、自らを取り巻く厳しい政治状況を映し出すものといえそうだ。(尾形聡彦)

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