菅直人首相は13日、来日中の中国の胡錦濤国家主席と横浜市内で22分間会談した。沖縄県の尖閣諸島沖での中国漁船と海上保安庁の巡視船との衝突事件で冷え込んだ関係の改善に向け、双方共通の利益を追求する「戦略的互恵関係」の発展が重要だとの認識で一致した。尖閣諸島を巡る問題では日中双方がそれぞれ自国の立場を主張し、溝は埋まらなかった。日中首脳の会談は漁船衝突事件後初めて。
首相は6月にカナダ・トロントで開いた前回の首脳会談で、戦略的互恵関係の原点を確認したことを提起。日中関係について「6月の状態に戻るべきだ」と訴えた。会談では(1)長期的に安定した日中の戦略的互恵関係は重要(2)政府間、民間の交流を促進(3)経済分野などグローバルな課題での協力を進展――で一致した。
尖閣諸島を巡る問題は、まず首相が日本固有の領土だとする「日本の確固たる立場について明確に述べ」(福山哲郎官房副長官)、胡主席も中国の立場を主張した。関係者によると、首相は中国によるレアアース(希土類)の輸出停滞を踏まえ、安定供給の重要性を訴えた。日中双方が権益を主張する東シナ海のガス田「白樺」(中国名・春暁)の問題も取り上げられたようだ。日本はガス田開発を巡る条約締結交渉の再開を求めている。
中国国営の新華社は、胡主席が会談で「(1972年の)日中共同声明など4つの政治文書を守って両国関係を正確な方向に発展させるべきだ」と語ったと伝えている。
今回の日中首脳会談について、日本側は正式な会談と説明している。ただ、中国外務省は今月11日のソウルでの米中、中ロ、中韓の各首脳会談で使った正式会談よりもやや弱い表現を用いた。14日午前には前原誠司外相と楊潔●(ち)外相が会談する。
首脳会談の冒頭、首相は「アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席され、心から歓迎します。わが国と中国とは本当に一衣帯水の関係だ」と述べた。胡主席は「お招きありがとうございます。これから日中関係の改善と発展について話し合いたい」と硬い表情のまま応じた。
会談は開始約30分前になって急きょ設定された。日本側は前原誠司外相、丹羽宇一郎駐中国大使、福山副長官が同席。中国側は戴秉国国務委員、楊外相、程永華駐日大使が同席した。
日中関係は9月の漁船衝突事件を機に急速に悪化した。菅首相と中国の温家宝首相が10月4日にブリュッセルで開いたアジア欧州会議(ASEM)の場外廊下で約25分間、非公式に会談し、戦略的互恵関係を進展させる必要性を確認。ただその後も中国国内で相次いだ反日デモの影響で両国関係はぎくしゃくした状態が続いている。
事態打開を模索した両政府は10月29日、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議を開いたハノイでの正式な首相会談を計画。会談はいったん決まったものの、直前に中国側が会談を拒否。正式会談が白紙となり、約10分間の非公式会談にとどまった経緯がある。
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