横浜市で開幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は初日の13日、APECとして初めて策定する成長戦略について議論し、域内の経済的不均衡の是正などを柱とすることで合意した。14日は、域内の地域経済統合などを議論。「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」構想を推進し、APECの将来像を一体感の強い「共同体」と位置づける首脳宣言「横浜ビジョン」を採択して、閉幕する。
成長戦略は域内の持続的な成長に向け▽経済的不均衡を是正する「均衡ある成長」▽中小企業支援などの「あまねく広がる成長」▽成長と環境の両立を目指す「持続可能な成長」▽新産業育成を通じた「革新的成長」▽円滑な経済活動に不可欠な食料安全保障などの「安全な成長」--の五つの柱で構成する。これらを具体化するための行動計画を作成し、達成状況を15年の首脳会議に報告することで一致した。
日本が議長国としてまとめる「横浜ビジョン」は、成長戦略とともに「より強固で深い地域経済統合を進める」との表現で貿易自由化加速を促し、各国の自主的な集まりであるAPECの将来像を「経済的に統合された強く安全な共同体」と提示。「アジア太平洋自由貿易圏」を実現させるため、日本が協議開始を表明した「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」などを土台として活用することを盛り込む見通しだ。
「横浜ビジョン」は、08年に合意した「貿易の保護主義的措置をとらない」との確認について、現在の期限の10年末から13年末まで3年間延長することも明記する。【赤間清広】
毎日新聞 2010年11月14日 東京朝刊