菅直人首相は十三日夕、中国の胡錦濤国家主席と横浜市内で会談した。長期的に安定した日中の戦略的互恵関係の発展が両国民の利益につながり、アジア太平洋地域と世界の発展に重要だとの認識で一致した。沖縄県・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件以降、両首脳が正式に会談するのは初めて。尖閣諸島については、首相が日本固有の領土と伝えたのに対し、胡主席は中国の領有権を主張した。
会談は日本側の呼び掛けに中国が応じて実現したが、二十二分間にとどまった。
両首脳は、二十カ国・地域(G20)首脳会合やアジア太平洋経済協力会議(APEC)での議論を踏まえ、経済分野を含むグローバルな課題での協力強化を確認。政府と民間の交流、協力を一層促進させていくことも申し合わせた。尖閣諸島をめぐっては、日本政府は両首脳の具体的な発言内容を公表していないが、首相は日本の確固たる立場を主張。胡主席も中国の立場を表明したという。
海上保安庁が撮影した中国漁船衝突事件の映像がインターネットの投稿サイトに流出した事件は、話題にならなかった。会談に同席した福山哲郎官房副長官は記者団に「日中の関係改善に向け、両国で大きな一歩を踏み出したという認識だ」と述べた。
会談冒頭の写真撮影では、首相は「APEC出席を心から歓迎する」と表明。胡主席は「お招きいただきありがとう。(首相は)周到な準備をされた。成功できると信じている」と応じた。
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