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社説:首脳会談 外交立て直しの一歩に
菅直人首相は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席のため来日中のオバマ米大統領、胡錦濤・中国国家主席、メドベージェフ・ロシア大統領と相次いで会談した。
オバマ大統領との会談では、日米の同盟関係を深化させていくことで一致した。日本は沖縄県・尖閣諸島周辺で発生した中国漁船衝突事件をめぐり中国との関係が悪化し、ロシアとは北方領土問題できしみが生じている。この機会に米国との関係を強固にすることは大いに意義がある。
菅首相は、漁船衝突事件などで米国が一貫して日本の立場を支持してきたことに謝意を伝えた上で、日本にとっての米国の重要性をアピールした。オバマ大統領はこれに応え、中国が国際社会の一員として適切な役割を果たすべきだと強調した。
日米両国がよりよい関係を構築することは、中国が海洋権益や資源の確保をめぐって活動を活発化させる中、重要だ。両国が東アジアをはじめ、国際社会の安定に向けて一層努力していくことを望む。
鳩山前政権は米軍普天間飛行場の移設問題で迷走を続け、関係を深めるどころか、むしろ信頼を損ねた。日米関係がぎくしゃくしたことが、中国の対日強硬路線や、メドベージェフ大統領の北方領土訪問につながったとの見方がある。菅政権は関係修復に努め、この行き詰まりを打開する必要がある。
首脳会談では、レアアース(希土類)の安定確保を目指したハイレベル協議を始めることなどで双方が合意した。オバマ大統領は菅首相に来春の訪米を招請。それまでに同盟深化に関する共同声明を取りまとめることで一致した。大きな成果を期待したい。
胡主席との会談は漁船衝突事件以来、初めての正式な日中首脳会談である。菅首相は温家宝首相と2度会談したが、廊下や控室での非公式会談だった。わずか約20分間とはいえ今回、正式会談開催に至ったのは、両首脳の危機感の表れだ。
両首脳は「戦略的互恵関係」の発展が重要との認識で一致した。尖閣諸島問題では、双方が自国の立場を主張するにとどまった。ほかにも東シナ海ガス田共同開発問題など、懸案は山積している。関係改善のためには、さらに対話を重ねる必要がある。
メドベージェフ大統領との会談は、ロシア国家元首として初めて北方領土を訪問した後だけに注目された。菅首相は、北方四島が日本固有の領土であるとの立場から抗議の意を表明。これに対し大統領は「われわれの領土であり、今後もそうだ」と譲らず、平行線をたどった。
メドベージェフ大統領の行動や言動は、これまで積み重ねてきた日ロ間の交渉をむだにしかねない。日本にとって深刻な事態だが、解決に向けて粘り強く交渉するしかない。
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