前原誠司外相と中国の楊潔●(ち)外相は14日午前、横浜市内で約35分間、会談した。前日に菅直人首相と胡錦濤国家主席が首脳会談で合意した戦略的互恵関係の強化で合意。民間・文化交流の促進を図り、両国間の国民感情の改善に努めることで一致した。東シナ海のガス田開発をめぐり、前原外相が交渉再開を提起したが、楊外相は「東シナ海を平和協力、友好の海にしたいが交渉再開の上で必要な条件と雰囲気づくりが必要」と慎重な姿勢を見せた。
前原外相が、中国河北省で9月に一時拘束されたフジタ社員の拘束理由についてただし、楊外相は「(日中の)交流をしっかり進める必要はあるが、駐在している国の法律を守ることは当然だ。今回、軍事制限区域に入ったのは明らかだ」と主張した。
尖閣諸島の領有権問題については、双方から直接の言及はなかったものの、楊外相は「敏感な問題については適切に処理したい」と暗に領有権問題は慎重に協議すべきだとの認識を示した。
会談は終始、和やかな雰囲気で行われ冒頭、前原外相は「アジア太平洋経済協力会議(APEC)の会合で様々な成果が上げられた中で中国が果たした大きな役割がある。そのことに敬意を表する」と言明。楊外相も「日本政府がこのたび成功裏にAPEC会議を主催できたことに心からお祝いする」などと語った。
外相会談は当初、日中首脳会談の事前調整としての開催が検討されたが13日は見送られた。背景には、これまでの中国の対応を「ヒステリック」などと批判してきた前原外相に対し、中国国内に厳しい見方があるためとされる。今回、一転して外相会談が実現したことについては「13日の首脳会談を中国側が高く評価し、外相会談を開催することになったのではないか」(日中外交筋)との見方が出ている。
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