ＡＰＥＣ閉幕、首脳宣言「横浜ビジョン」を採択

　横浜市で開かれていたアジア太平洋経済協力会議（ＡＰＥＣ）首脳会議は１４日、アジア太平洋地域の将来像を提唱する首脳宣言「横浜ビジョン」を採択し、閉幕した。菅直人首相は２１カ国地域の首脳と壇上に並んで宣言文を読み上げ、「横浜ビジョンを実現し、世界のさらなる発展と福祉の向上をもたらすものと確信している」と述べた。

　横浜ビジョンでは、ＡＰＥＣの今後の姿を「共同体」と位置づけた。具体的なあり方として、「緊密な共同体」▽「強い共同体」▽「安全な共同体」−の３つの要素で構成した。

　最大の焦点となった、地域経済統合のあり方については「緊密な共同体」に記し、アジア太平洋自由貿易圏（ＦＴＡＡＰ）の実現に向けて具体的な手段をとることで一致。道筋として、東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）プラス３▽ＡＳＥＡＮプラス６▽環太平洋戦略的経済連携協定（ＴＰＰ＝トランス・パシフィック・パートナーシップ）−など、現在進行している地域的な取り組みを基礎として発展させるとした。

　強い共同体への道筋には、ＡＰＥＣ成長戦略を明示。２０１５年を目標に、構造改革やグリーン雇用、技術、産業の創出に向け行動するとした。安全な共同体への道筋には、食糧安全保障、防災、感染症対策など具体的な取り組みを促進すると記した。