自由化促進や成長戦略、通貨切り下げ競争回避を=APEC首脳宣言
[横浜 14日 ロイター] アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は14日午後、域内の持続的な経済成長実現に向け、貿易・投資の自由化促進やAPECで初となる成長戦略の実施などを盛り込んだ首脳宣言「横浜ビジョン」を採択した。
首脳宣言では、アジア太平洋地域の経済について「回復しつつあるが、不確実性が残っている」とし、為替に関して、通貨の競争的な切り下げ回避や為替レートの過度な変動を「監視する」と明記、直前に韓国・ソウルで行われた20カ国・地域(G20)サミットの声明を踏襲した。
宣言では、新興国などの台頭が著しいアジア太平洋地域が「世界経済の原動力、成長エンジンになった」と位置づけた。域内経済に不確実性が残るなか、「強固で持続可能かつ均衡ある成長」を確保し、成長のエンジンであり続けるためには成長の質の向上が必要と指摘。こうした目的を達成するためには域内の貿易・投資の自由化や成長戦略の実行が不可欠とし、「より開かれたAPEC共同体の追求」やAPECで初となる成長戦略を打ち出した。
地域経済統合に向けた具体的な取り組みでは、アジア太平洋貿易圏(FTAAP)の実現に向け、環太平洋経済連携協定(TPP)など現在進行している地域的な取り組みをさらに発展させることが重要と位置づけた。
また、成長戦略は、域内の質の高い成長を実現するため、1)均衡ある成長、2)あまねく広がる成長、3)持続可能な成長、4)革新的成長、5)安全な成長──の5つの「成長」に焦点をあてて取り組む。こうした成長戦略を実行するため、構造改革や人材・企業育成、グリーン成長などを作業項目とした「行動計画」を実施。高級実務者レベルで成長戦略の進ちょく状況を毎年確認するとともに、2015年に首脳に報告することなどを盛り込んだ。
また、声明では、持続的な成長の確保に向けて「不均衡を削減し、経常収支を持続可能な水準で維持する」ために、あらゆる政策を追求すると表明。為替問題については「根底にある経済ファンダメンタルズを反映するため、より市場で決定される為替レートシステムに移行し、為替レートの柔軟性を向上させるとともに、通貨の競争的な切り下げを回避する」と明記するとともに、「準備通貨を持つエコノミーを含む先進エコノミーは、為替レートの過度の変動や無秩序な動きを監視する」とG20サミットの声明を踏襲した。こうした取り組みが「いくつかの新興市場エコノミーが直面している資本移動の過度な変動リスクを軽減させる」可能性にも言及した。
(ロイターニュース 伊藤 純夫記者)
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