アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は14日、首脳宣言「横浜ビジョン」を採択して閉幕した。地域経済統合の進め方を巡り、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構築を目指し、環太平洋経済連携協定(TPP)など域内で進行中の協力を強化する方針を明記。APECの将来像を「緊密で強くて安全な共同体」と表現した。経済の不均衡是正や環境対策など5本柱で構成するAPEC初の成長戦略もまとめた。
首脳会議は加盟21カ国・地域が参加、横浜市内で13日から開催していた。日本が議長国を務めるのは大阪市で開いた1995年以来、15年ぶり。菅直人首相は会議閉幕に際して記者会見を開き「横浜ビジョンによってAPECの成長を持続可能なものとして、世界経済をけん引する力を発揮していく」と強調した。
首脳宣言では域内の経済情勢について「近年の経済金融危機から回復しつつあるが、不確実性はいまだ残っている」と分析。健全な財政運営を進め、強固な世界金融システムを築く必要があると指摘した。保護主義を抑止する方針も鮮明に打ち出し、2008年の首脳会議で決めた輸出制限措置を含む保護主義の自粛を13年末まで3年間延長する方針を明記した。
APECの将来像については3つの側面から「共同体」の方向性を提示した。「緊密な共同体」では国際物流コストの10%改善など地域統合に向けた具体策を明記。「強い共同体」では成長戦略の実行、「安全な共同体」では食料確保や防災対策などで協調する方針を、それぞれ盛り込んだ。従来の緩やかな連携から一歩踏み込んだ形だ。
首脳会議の焦点だった地域統合の進め方では、「FTAAPの実現に向けて具体的な手段をとる」と明記。関税撤廃に加えて、域内の貿易や投資の阻害要因となっている非関税障壁の見直しや規制改革、物流円滑化などを通じて、包括的な経済連携をめざすとした。
具体的な道筋としては(1)東南アジア諸国連合(ASEAN)に日本、中国、韓国が加わる「ASEANプラス3」(2)さらにオーストラリア、ニュージーランド、インドを加えた「ASEANプラス6」(3)TPP――の3つを例示し、「現在進行している地域的な取り組みを基礎としてさらに発展させる」と宣言した。
成長戦略は不均衡是正、成長基盤の強化、環境対策、技術革新、安全確保――という5本柱を設定。具体的な数値目標の設定は見送ったものの、構造改革や人材育成など各分野で行動計画をまとめる方針だ。成長の基盤を広げるために女性や高齢者の就業支援や、環境と両立する投資の促進などを掲げた。毎年、進ちょく状況を点検して、15年の首脳会議に報告する。
首脳会議では、94年に策定した貿易・投資の自由化指針である「ボゴール目標」の進ちょく度合いを点検した。域内の平均関税率は96年の8.2%から08年には5.4%まで低下。2国間の投資協定や自由貿易協定(FTA)は96年の160から09年には340まで増えた。
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