政府が参加を検討する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)問題で、県農協中央会などJAグループは13日、県内5カ所で計約3000人を集め、反対の決起集会を開いた。TPPを協議するアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が同日、横浜市で始まったことに対抗する狙い。参加者らは「きょうがTPP阻止に向けた闘いの始まり」と気勢を上げた。
開催地は鹿児島市▽鹿屋市▽南九州市▽志布志市▽さつま町。農協関係者、農家、各地の首長のほか国会議員、県議らも出席した。
志布志市のJA県経済連大隅野菜事業所には約600人が集まった。県農協中央会の川井田幸一会長は「大企業が車、電化製品を売るために食を犠牲にしようとしている。地方が生き抜くため断固阻止しかない。食を外国に渡してなるものか。命がけで闘う」と激しい口調で訴えた。
生産者を代表し曽於市末吉町の畜産業、和田六雄さんが登壇。「農業は命をはぐくみ、ふるさとを守り、地域を支える重要な産業。農家の思いをふみにじり地域経済を置き去りにするTPPには断固反対だ」と憤った。
最後に「TPPを締結すれば日本農業は崩壊するとともに、関連産業までも廃業に追い込まれ、地方の雇用が失われることになる」とする大会決議を拍手で採択。ガンバロー三唱で気勢を上げた。
鹿児島市役所前では野党・自民党の加治屋義人参院議員と与党・民主党の川内博史衆院議員が並んで出席。川内氏は「私は党内で反主流派。TPPは国益につながらず、拙速な参加は断固認められない」と「反対」を訴えた。集会後、参加者約600人は「断固反対」などとシュプレヒコールをあげながら市中心部を練り歩いた。【新開良一、福岡静哉】
毎日新聞 2010年11月14日 地方版