自民に主戦論 「今なら解散に追い込める」 「公明の菅見限り逃すな」

2010.11.13

 菅直人内閣の支持率急落を受け、自民党で「年内にも衆院解散に追い込める」(幹部)と主戦論が台頭した。中国漁船衝突事件のビデオ映像流出問題で、与党寄りの姿勢が目立っていた公明党が強硬論に変貌。この期を逃すなと、月内にも馬淵澄夫国土交通相や仙谷由人官房長官の不信任決議案や問責決議案を提出し、一気に政権を追い込む構想が練られ始めた。

 「公明党は来春では逃げるかもしれない。今勝負をかけるべきだ」

 12日朝の自民党幹部会合で、複数の出席者が谷垣禎一総裁に直訴した。会合では、15日にも馬淵氏の不信任案を衆院に提出し、今月下旬には、補正予算案が参院で採決される直前に馬淵、仙谷両氏に対する問責決議案を提出する方向で調整することが確認された。

 当初自民党では、2011年度予算案の与野党攻防が本格化する来年春に衆院解散に追い込む可能性を探ってきた。

 しかし、来春には公明党が重視する地方統一選がある。「選挙日程の重複を嫌う公明党が衆院選を避けようと予算案審議に協力する」(閣僚経験者)との見方が根強い。

 ところが、漁船衝突事件で事態は一変。公明党内では、政治と行政の責任を分けたがる仙谷氏と、ビデオ映像を流出した海上保安官(43)の上司にあたる馬淵氏への批判が噴出。井上義久幹事長は12日の会見で、「不信任や問責の提出は当然あり得る」と言及するほど政権離れが顕著になってきた。

 時事通信が12日発表した世論調査で、菅内閣の支持率が前月比11・4ポイント減の27・8%と、「政権の危険水域」(閣僚経験者)に達したのも追い風になっている。

 早期解散論を唱えた自民党幹部は「今なら統一選への影響も少なく、公明党も同調しやすい。景気対策もちぐはぐで、低所得者の多い公明党支持層には、菅内閣に対する不信感が急速に広まっている」と分析。ケンカが苦手と揶揄される谷垣禎一総裁が、鬼の形相に変わるのか。

 

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