管理強化は3部署だけ=海保、指示限定で防げず―「秘密意識低い」・ビデオ流出
(時事通信) 11月13日(土) 16:03:14
尖閣諸島沖の中国漁船衝突をめぐる映像流出事件で、海上保安庁は10月に映像の管理を厳格化したと説明している。しかし、直接指示を出したのは石垣海上保安部(沖縄県)、第11管区海上保安本部(同)、本庁(東京都)の3カ所だけで、全体には伝えていなかった。
「自分が流出させた」と告白した海上保安官(43)は神戸海上保安部(神戸市)の巡視艇の乗組員。「3カ所の職員以外はほとんど指示を知らなかった」(海保関係者)といい、同保安部にも指示が出ていれば、保安官はこの時点で映像を廃棄し、流出させなかった可能性もある。
馬淵澄夫国土交通相は、政府・与党が衝突場面のビデオ映像の国会提出を決めた10月18日、衝突事件の映像の管理について鈴木久泰・海上保安庁長官に指示。同庁は石垣海保、11管区本部、本庁で映像の管理責任者を定め、映像を収めたハードディスク記録を消去し、DVDを廃棄した。
3カ所に絞った理由について、海保幹部は「国交相の指示は衝突事件の映像についてなので、『関係がある部署に』と考えたのでは」とする。
しかし、実際には石垣海保で編集された映像が海上保安大学校(広島県)のパソコン(PC)の共有フォルダーに保存されていた。庁内ネットワーク(イントラネット)を通じ、一時、各地の海保から閲覧できたとされる。
事件の証拠は本来、ネットワーク化されていないPCや、秘匿性の高い捜査部門用のネットワークで取り扱われる。法務省は、映像は証拠と同等との見方を示す。
別の海保関係者は「あの映像は証拠品を編集したダイジェスト版。現場の感覚では『資料』に過ぎず、『秘密』だと考えていた海保職員はいなかったと思う」と話した。
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