【コラム】給食と学用品の無料化論争に一言(上)

 米国のオバマ大統領は、機会があるたびに韓国の教育熱や短期間で成し遂げられた経済成長を模範的なケースとして称賛するが、今度はアーン・ダンカン米教育省長官が、公の席で同じような称賛を行った。昨年11月にオバマ大統領が来韓した際、李明博(イ・ミョンバク)大統領は、「韓国では保護者からの要求が非常に多いが、これは韓国の教育における最も大きな挑戦だ」と発言した。ダンカン長官はこれを引用し、「米国の保護者たちも、子供の教育がより改善されることを求め、わたしの執務室のドアを激しくたたいてほしい」と語った。よい手本として海外の首脳や閣僚から称賛されるのは気分のよいことだが、その一方で、韓国の保護者の立場からすると、心が重く、後味が悪いようにも思える。

 「韓国の保護者たちは要求が多い」というのは、韓国の保護者による教育熱が世界的に見て高いということを意味する。だが逆に解釈すれば、韓国の保護者たちは自国での教育に対する不満が世界的に見て非常に高いとも言える。

 資金も支援もない廃墟の中から復興した韓国経済は、非常に高い教育熱と誠実な勤労意識を基盤に走り続けてきた。そのおかげでわれわれの脳裏には、「教育=成功」という等式が根付いており、どのような悪条件の中でも子供の教育を最優先するという、「教育熱DNA」が形成された。

 しかし、たとえそうだとしても、幼稚園児や小学校低学年が塾を転々とし、公教育よりも私教育に依存する今の教育熱は、オバマ大統領が語る美談とは明らかに性質が異なるはずだ。

 高い教育熱の影響で逆に問題となる理由は、大きく分けて二つ挙げられる。一つは親の世代が持つ不安感で、もう一つは公教育の変化のペースが保護者の期待に応えられていないことだ。アジア通貨危機をきっかけに終身雇用の神話が崩壊し、不安定な雇用状況の中で毎日激しい競争にさらされながら、社会で貧富の格差が大きくなるのを、保護者たちは目の当たりにする中で、子供の将来に対する不安も当然高まってくる。韓国社会は世界でも早いペースで変化しているため、自分の子供たちもその変化に付いていかなければならないが、公教育の対応は保護者たちからするとあまりにも遅く、イライラするものばかりだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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