【コラム】「38税金機動隊」同行取材で感じたこと(下)

 滞納された税金が多ければ多いほど、国庫の切り盛りは苦しくならざるを得ない。年間の国税滞納新規発生額は、01年の10兆2000億ウォン(約7313億円)から、09年には16兆7605億ウォン(約1兆2016億円)に膨らみ、64.3%も増えた。国税庁が徴収できず欠損処分した税額は、05年からの5年間で総額35兆3196億ウォン(約2兆5321億円)。今年の韓国の国家予算(292兆8000億ウォン=約20兆9914億円)の12%にもなる金を、「滞納金」として処理したわけだ。地方税の累積滞納額も、08年基準で3兆4000億ウォン(約2438億円)に達する。昨年だけでも地方債務が34%増え、25兆5000億ウォン(約1兆8281億円)を超えたことから、地方税の徴収を民間に委託しようという主張も上がっている。

 数日前、イ・ヒョンドン国税庁長は会計・法務法人の代表らを集め、大企業の脱税や不誠実な所得申告を手助けした場合、租税犯の処罰に関する法律の規定を適用し、厳しく罰すると発表した。だがこれに対しては、「警察が酒屋の主人を集め、“今から違法な営業を取り締まるため、当分の間は注意せよ”と助言するようなものだ」と厳しい批判の声が上がっている。有名な会計・法務法人には国税庁出身者が布陣していることから、どれほど厳しく処理できるかは疑問だ。

 機会があるごとに「脱税との戦争」を叫んできた国税庁が、韓国国民の信頼を得るには、戦争で得られた成果は何なのか、脱税を助ける人々をどう処罰したのかについて、実績をもって語らなければならない。慣行のように脱税してきた大企業のオーナーや、高額・常習滞納者らが平然と暮らせるようにしておきながら、一方で「公正社会」を叫ぶのは、話にならない。租税の原則は、効率と公平だ。誠実な納税者らがこれ以上腹を立てずに済むよう、「税金泥棒掃討作戦」に総力を上げて取り組まなければならない。

趙正薫(チョ・ジョンフン)論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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