【コラム】「38税金機動隊」同行取材で感じたこと(上)

 「この家で間違いないな?」

 先月19日午後、富裕層が多く住むソウル市鍾路区平倉洞の住宅街。この日、本紙が同行取材を行ったソウル市庁の「38税金機動隊」に所属する調査官3人が、要塞のように高い塀に囲まれた家の前で立ち止まり、呼び鈴を鳴らした。何度も鳴らし続けたが、中から応答はなかった。

 「やれやれ、前回も無駄足だったのに。電話はそもそも取らないし…。次は朝早くに来て待ってみよう」

 この豪華な邸宅の住民は、昨年から10回にわたって賦課された税金4億ウォン(現在のレートで約2868万円、以下同)を滞納している50代の事業家だという。「調査したところ、かなりの財産を所有している。3階建てのこの家も、時価30億ウォン(約2億1508万円)程度になる。夫人名義になっている数十億ウォン(数億円)相当の不動産や、高級外車もある」

 38税金機動隊は、ソウル市で税金の滞納規模が2000年に1兆ウォン(約717億円)を超えたことを受け、翌01年8月にソウル市が発足させた部署で、滞納された税金の徴収を専門に担当する。「すべての国民は、法律が定めるところにより、納税の義務を負う」と定める憲法38条から、「38」という名が付けられた。

 契約職の民間人を含む総勢40人が、500万ウォン(約36万円)以上の高額滞納者を対象に、隠し財産を追跡調査し、車を公売するなどして、滞納された税金の徴収を行っている。38税金機動隊が過去9年間に徴収した税金だけでも、4000億ウォン(約287億円)を超える。

 税金滞納者らの脱税行為は抜け目がなく、実に巧妙だ。100億ウォン(約7億1692万円)台の不動産を所有する夫人と偽装離婚した後、豪華な住宅に同居しながら、税金は納めないという「腹を切れ」型。秘密の貸金庫に金のゴルフボールや金のカメなどの貴金属を隠しておく、ニセ「無一文」型…。もちろん、これらの滞納者は、38税金機動隊の粘り強い追跡により、滞納の事実が発覚した。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る