日本のハードウェア優先設計の終焉　次世代ゲーム動画ＡＬＩＶＥ

　いまどき、「ＤＯＳ」を前提にしたシステム設計など許されるわけがない。どんなエンドユーザーでもWindowsを前提にした設計を要求してくる。組み込み用途で画面が無くても高度なマルチスレッド、マルチタスクで動作することが可能なオペレーションシステムが前提となる。
　ところが、ハードウェアをずっとやっているメーカーは、そうした時代の流れを無視した、古い考えがいまだにはびこっている。いわく、「ＤＯＳで動かしてください」と真顔でそう主張されてもデバイスドライバを作成する俺のほうとしては困ってしまう。ＤＯＳといっても、Windows上で立ち上がるＤＯＳコンソールのことじゃない。画面全体が黒くマウスが使えない、ＰＣ９８０１とかいう時代に使われていたアレだ。
　そういうハードウェア向けにWindowsライクなプログラムを開発すると，「こういう構造では，到底データを処理できない」といった問題が起こる。だから本当はハードウェアをよく知っていて、ドライバも知っていて、ソフトウェアの挙動も全部わかっている天才がいれば問題ないわけだが、そんな人間は少なくとも日本人にはいない。
　だから、そうしたＯＳがやるようなこともハードウェアでやってしまえばいいのではないか？とＰＳ３の開発者は思ったのかもしれない。自分らの設計は完璧で、自分らの作ったハードウェアで動くソフトウェアがショボイのは、ソフトウェアを作る人間が無能だからだ、というわけ。
　こうした発想が駄目だというのはほとんどの人はWindows95の時に気がついた。Windows98でかなり改善し、Windows2000ではほとんど問題にならなくなった。ただ、そうしたパラダイムシフトに自分らの存在をかけて真っ向から反抗している人々が少なからず居て、そういう人達の夢の到達点がＰＳ３でもあるわけ。
　ＧＴ５の発売で、そうした日本のモノヅクリの歴史の一つが終わった気がする。