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有明抄

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日本語(11月13日付)

 辞書はいつも机の上にある。辞書なしには1行も書けない。『広辞苑』など市販の辞書とは別に、加盟している共同通信社の『記者ハンドブック-新聞用字用語集』も手放せない◆「当用漢字」で始まった戦後の国語政策。1981年に「当用漢字」は「常用漢字」に拡張され、さらにその「常用漢字」の見直しが進められている。パソコンの普及など漢字をめぐる環境の激変が背景だが、新聞記事は標準的な分かりやすい口語体が基本で、なるべく文語的表現は避けるようにしている◆辞書を引いて知ることは山とある。また自分が考えている文字とは思いもしない漢字があったりして驚くことがある。例えば「のんき者」。「ノンキ」は漢字では「呑気」。そう思いこんで念のために辞書を開いてみると、他に「暢気」「暖気」とある◆字面を見てなるほどと思うが、これらを「のんき」と即座に読める人はそうはいないだろう。ルビをふって漢字を使うか、平仮名にするか。「タイギメイブン」は「大義名文」や「大義明文」ではない。「大儀名分」でもなく、正しくは「大義名分」。「大義」は人のおこなうべき大切な道義。「名分」は人が守るべき本分のこと。「大義名分」は人の行動の理由づけとなる明確な根拠-となる◆「出会い」は人と人との場合に用い、本や動物が対象だと「出合い」に。また「消耗」は「ショウモウ」と思っていたが、辞書には「ショウコウ」とある。漢字に「毛」があるからそう発音していたが「ショウモウ」はあくまで慣用読みだった。「隧道」も同じく「ズイドウ」と発音していたが正しくは「スイドウ」◆かくも日本語は難しいが、それだけに深みがあって面白い。まずは国語辞書をどうぞ。(賢)

【最近の有明抄】
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