菅総理大臣は13日、アメリカ、中国、ロシアの首脳と相次いで会談し、アメリカについては、対中国を念頭に日米同盟を深めていくことで一致しました。一方、中国とロシアの首脳には、尖閣諸島や北方領土に対する日本の立場を伝えたものの、いずれも議論は平行線に終わり、菅外交の試練は続きそうです。
菅総理大臣は、APEC=アジア太平洋協力会議の首脳会議に出席するため横浜を訪れている、アメリカ、中国、ロシアの首脳と相次いで会談しました。このうちアメリカのオバマ大統領との会談では、中国やロシアとの関係がぎくしゃくするなか、アジア太平洋地域における日米同盟の存在が重要だという認識で一致し、同盟関係を深めていくことで合意しました。また、焦点となっていた中国の胡錦涛国家主席との会談は、日中両政府の調整の結果、ようやく13日夕方になって、22分間行われました。このなかで、両首脳は、両国の利益を拡大する「戦略的互恵関係」は重要だという認識で一致しました。そのうえで菅総理大臣は、中国漁船による衝突事件が起きた尖閣諸島について「日本固有の領土であり、東シナ海に領土問題は存在しない」という日本の立場を伝えました。しかし、胡錦涛国家主席からも、尖閣諸島をめぐる中国側の立場が表明され、議論は平行線に終わりました。さらに菅総理大臣は、ロシアのメドベージェフ大統領に対しても、北方領土は日本固有の領土であるとして「大統領の北方領土訪問は、国民感情からも受け入れられない」と直接抗議しました。しかし大統領は「わたしが、みずからロシア領土への訪問を決定した」と反論しました。一連の首脳会談で、菅総理大臣は、鳩山政権時代に、きしんだ日米関係を元に戻し、強固な同盟関係をアピールすることには成功したとしていますが、日中、日ロの関係修復には至らず、引き続き難しい外交課題は残ったままとなりました。菅総理大臣は14日は、韓国のイ・ミョンバク大統領と会談し、朝鮮王朝時代の国家行事を記録した「朝鮮王朝儀軌」など、1200点余りの文化財を韓国側に引き渡すことで正式に合意するほか、カナダのハーパー首相と会談し、安全保障について協議することにしています。