2013年に東京で開く高度道路交通システム(ITS)の世界会議に向け、準備組織が発足した。車や道路を無線でつなぎ、渋滞緩和や安全対策などに役立てる。日本の得意技術を世界に示せる分野だけに官民一体で主導権を握るべきだ。
世界会議はITSジャパン、ITSアメリカなど日米欧の3団体が回り持ちで開いている。1994年のパリ会議が最初で、日本開催は6年前の名古屋に続き、3回目となる。車の衝突を防ぐ無線通信など様々な技術の標準化や実用化を進める。
日本の役割が特に期待されるのが3つの分野だ。高速道路の自動料金収受システム(ETC)に使われる狭域通信と呼ばれる無線技術や、車と車をつなぐ車車間通信、位置情報などを車から集めて渋滞情報などに使う「プローブ」という技術だ。
ETCは全国導入から9年になるが、高速道路を通る車の85%が利用し、渋滞緩和などに役立っている。車載器の普及で、高速料金を柔軟に設定することも可能になった。
だが技術を世界に普及させるには標準化が重要だ。ETCは瞬時に料金を計算できるなど優れた技術だが、コストが高い。ドイツや米国などは携帯電話網のような汎用技術を使おうとしており、日本の先端技術を広めていく努力が欠かせない。
日本では地上放送のデジタル化で空く周波数をITSに一部使う計画だ。各国が同じ周波数を使えば、無線装置の輸出もしやすくなる。政府は利用する電波を合わせるよう海外に働きかける必要がある。
カーナビなどに使うプローブの技術は、情報を共有できれば精度を高めることができる。ただメーカーの商品戦略やプライバシー政策にも関係するため、政府を巻き込んだ国際的な合意づくりが求められよう。
ITSは主に通信技術だが、電気自動車の登場により、今後はスマートグリッド(次世代送電網)との連携も課題だ。今月から横浜市で実験が始まった。日本の車と電機の強みを生かせる技術を期待したい。
ITSは国土交通省、経済産業省、総務省、警察庁の4省庁が担当しており、縦割り構造の弊害は否めない。官民の協力と合わせ、政府部内での協力関係も促す必要がある。
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