2010年10月16日

堕ちた猿(2)

二人で会いませんか、と珍しく死長の方から声をかけてきた。
おそらく市長選がらみで熨斗をやれという話だろう。
嫌な奴だが、むげにも断りづらい。

参議院選に落ちて収入がゼロになっていたころ、
松山市から財団法人松山コンベンション観光協会の会長に、と話が来た。
間違いなく死長の差し金。
人の足元をみるのが本当にうまい。
ロープウェイ街2階の小さなオフィスには一応個室もある。
仕事なんてほとんどないが、給料はたっぷり出る。
その時から既に知事選・市長選への布石だったのかもしれない。
奴ならそれぐらいのことはやりかねない。

自民党の市長候補の一本化に話が及んだとき、奴が身を乗り出してきた。

「先生、最後まで手を降ろさない方がいいと思いますよ。」

冷たい能面でささやいてくる。
やはりこれが今日の本題か。

こいつは、本当に筋金入りに腹黒い。
そして、悪知恵は恐ろしいほどよく働く。
確かにこいつのいうとおりかもしれん。
俺が手を降ろすまでは、界農や咳矢系県議らは絶対に身動きがとれない。
県連・市連もその間指をくわえてまってるしかない。
一本化調整が遅れれば、得をするのは熨斗。

しかし、そんなことをして俺になんのメリットがある。

「そういえば息子のたいらさん、お元気ですか。
来年春の県議選に出られるなら私も応援しますよ。」

こいつはこの12年で本当に人相が悪くなった。
昔はそれでも多少は可愛げがあった。
最近は腹の底が見えない能面に、目が笑っているのを久しく見たことがない。
ある種、哀れではある。
国政に戻りたくても戻れない屈辱。
この12年、一日も休まず復讐を考え続けてきた結果の人相か。

熨斗支援とタイラのバーターとは。
嫌らしい手を考えつくものだ。
キミ子は息子を政治家にしたくないとまた反対するだろうが、
県議ぐらいならまず落ちないだろうし、案外飲むかもしれない。

それにしても。
後継市長へのただならぬ執念。
やはり、こいつは相当やばいものを抱えているに違いない。
例の坂の上の雲ミュージアムの件か、それとも噂がではじめたもう一つの話か。
いずれにしてもこいつは好き放題やりすぎた。
最近は右翼関係者から揺さぶられているとも聞く。

まあ、いい。
次の市長が熨斗になろうが、暴士になろうが、知ったことではない。
どちらが勝ってもいいように保険をかけておけばいいのだ。
政治の極意は二枚腰、三枚腰。
これが咳矢流。
汐崎みたいな青二才には到底まねできまい。

俺の出馬に反対しやがった連中に、一泡吹かしてやるか。
ようやく面白くなってきた。


嫉妬、復讐、隠蔽、憎悪、強欲、保身。
人のあらゆる暗い業を呑み込んで、
伊予の秋の嵐はさらに激しさを増していく。
posted by darkcloud.1999 at 01:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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