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尖閣諸島付近の中国漁船衝突をめぐる映像流出事件で、事件への関与を認めている神戸海上保安部の海上保安官(43)が、13、14日の両日も神戸市の第5管区海上保安本部の入る合同庁舎内にとどまる意向であることが、13日未明に分かった。5管が明らかにした。保安官は5管を通じ「多くの人に多大なるご迷惑をおかけした」との謝罪のコメントを出し、「(庁舎内の)宿泊は私の意思」とした。
10日に海上保安官が「自分が流出させた」と船長に名乗り出てから、警視庁の事情聴取は3日が経過した。海上保安官は海保の施設内で宿泊し、事実上の拘束状態で聴取を受け続け、この週末も合同庁舎内にとどまる意向であることが分かった。
保安官は13日未明に、5管を通じてコメントのメモを発表。「世間をお騒せした事及び多くの人々に多大なる御迷惑をおかけした事を一番最初に心からお詫び申し上げます」などと謝罪する一方、「ここ(海保の施設内)に泊るのは私の意志に基づくもの」(原文のまま)。自宅に戻ることで、周囲にさらに迷惑をかけてしまうとの配慮とみられる。
任意の聴取であるにもかかわらず、外に出られず家族に連絡もできないのはほぼ逮捕と同じ。保安官は事件を伝える報道についても知ることができない状態だったという。この状態を長期間続けるわけにもいかず、捜査当局は保安官を帰宅させる方向で検討を開始していたが、結局は“カンヅメ”状態で状況は変わらず。任意の聴取を続け、逮捕するか書類送検かの判断は週明け以降に判断するとみられる。
元東京地検公安部長の若狭勝氏は「すぐに逮捕されると見ていたが、保安官の自白だけでなく流出させた客観的証拠がないから長期化している」と分析。「海保の職員だから、施設内に何日も泊まっても不思議でないが」と前置きし「自由を奪われた状態での“供述”が今後の裁判時に証拠として採用されない可能性もある」と苦言。拘束状態での長期の聴取については「これ以上続けるのは法的にも問題になる。自宅に帰して任意で聴取するべきだ」と話した。
また、捜査関係者によると、海上保安官は警視庁の調べに対し、問題の映像を入手した時期について「9月中旬から10月上旬の間に入手した」と説明。「その後は巡視艇(うらなみ)内で見て入手した」と話している。うらなみのパソコンからは、映像を記録媒体「USBメモリー」に取り込んだ形跡が見つかった。
保安官は「艇内のパソコンから公用のUSBメモリーで映像を取り込み、個人用パソコンにデータを移動。そこから私物のUSBメモリーに取り込んだ」と話している。映像を持ち出した後は「自宅パソコンで映像の投稿の練習をした」と説明した。
保安官は、うらなみのパソコンを使い「海上保安大学校(広島県呉市)の共有フォルダーから映像を入手した」と話しており、海保内のネット経由で一時的に映像が入手可能な状態だったことが判明。流出した映像は研修用に編集され、第11管区海上保安部(那覇)から海上保安大学校を通じて拡散したとみられる。
(2010年11月13日11時30分 スポーツ報知)