尖閣ビデオ流出、最大原因の仙石氏は直ちに辞任を
2010/11/14 08:34更新
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【週刊・中田宏】(44)
日本の誇りを取り戻そうと駆け回る政治家、中田宏氏の活動を紹介する「週刊・中田宏」。「今週の政治を斬る」では、尖閣諸島の中国漁船衝突をめぐる映像流出事件について聞いた。中田氏は「海上保安庁長官でも国土交通相でもなく、流出の責めを負うべきは仙石由人官房長官。責任を取って、仙石氏は即刻辞任すべきだ」と断じた。
「浪人日誌」では、1週間の主な活動3つを選んで紹介。東京地裁の名誉棄損訴訟に続き、横浜地裁の慰謝料請求訴訟でも勝訴したことを取り上げた。
■今週の政治を斬る
【海保の画像流出、犯行告白の保安官に同情】
沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突をめぐる映像流出事件で、神戸海上保安部の海上保安官(43)が、「自分が流出させた」と上司に名乗り出たことが分かり、警視庁は10日、国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで保安官の取り調べを始めた。衝突時の映像は海上保安庁が撮影したもので、5日、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿されていることが分かり、海保などの関係機関が、流出の経緯を調査していた。
映像をめぐっては、菅直人政権が一部の国会議員だけに公開を限定したため、一般公開を求める声が出ていた。
保安官は乗船していた巡視艇「うらなみ」の船長に映像流出を打ち明けた際、「罪を犯したつもりはない」と話したという。
中田氏は「守秘義務違反の疑いを否定できないところに、もどかしさを感じるが、義憤にかられての行為ということは私を含めて、多くの人の理解するところだろう」と心情を打ち明ける。
「政治家が本来、公開の決断をしなければならなかったが、そうしなかったことで、やむにやまれず、1人の公務員が成り代わって行動した。そのことを考えれば、海上保安官に当然、同情を感じるところはある」と中田氏は話す。
海上保安官が犯行を「告白」したことは閣僚の責任問題にも発展した。仙石由人官房長官は「(閣僚という)政治職と(海保長官という)執行職では責任のあり方が違う」と発言。野党による馬淵澄夫国土交通相の監督責任の追及に対し、予防線を張った。
仙石氏の発言に対して中田氏は、「政治職という耳慣れない言葉をあえて持ち出すのであれば、それこそ最大の原因と責任は仙石氏にある」と断言する。
中田氏は「国連総会などに出席のため訪米していた菅首相が帰国する前に、中国漁船の船長が釈放された背景には、仙石氏の『指示』があったと考えて間違いない」と指摘する。
「さらに、その後も映像を一般公開しない「政治職」の判断の誤りが、国益を損ねるような事態を招いたため、「執行職」である現場の公務員が義憤にかられて映像を流出させるに至った。仙石氏こそが、責任を取って辞職すべきだ」と中田氏は、語気を強めた。
神戸海上保安本部の幹部は、海上保安官が名乗り出たことに関して、個人的な意見として「以前なら不審船の銃撃の映像はすぐに公開されたのに、中国漁船衝突の映像が公開されないことには疑問を感じていた」と話した。別の職員は「公務員としては、彼の行動は疑問に思う」と批判を口にしている。
中田氏は「公務員の立場を考えれば、確かに法的な問題はあるが、いたずらで職員名簿を流出させるような面白半分の行動ではない。民主党政権の一連の政治判断が、領土や領海を命がけで守っている現場の職員の誇りや気概を深く傷つけたことを、理解しなければいけない」と静かに話した。
【ノーベル平和賞授賞式、欠席求める中国は非常識】
前原誠司外相は9日の衆院予算委員会で、来月10日にノルウェーの首都オスロで開かれる中国の民主活動家、劉暁波氏のノーベル平和賞授賞式に関し、中国政府から日本政府に出席しないよう要請があったことを明らかにした。
前原氏は「東京とノルウェーの外交ルートを通じて、日本政府関係者の出席を控えるよう求める申し入れがあったのは事実」と述べた。
中田氏は「当然出席すべきだ。もし出席しないようなことになれば、尖閣諸島の漁船衝突問題に加えて、『日本は中国の言いなり』との印象を世界にますます広めることになる」とキッパリ。
中国は授賞式に出席しないよう求める書簡を日本のほか、欧米各国の大使にも送りつけていることが、AP通信の報道などで明らかになっている。
AP通信によると、書簡は「劉氏は犯罪者で、平和賞は中国への内政干渉」と中国当局の従来の見解を繰り返している。
また、「平和賞は旧ソ連を含め社会主義国に対し、プロパガンダによる圧力をかけ、イデオロギー対立と社会不安をあおるために使われてきた」と非難し、式当日に劉氏を支持する声明を出さないことも求めている。
中田氏は「中国の行動こそ、内政干渉にあたる。中国は日本以外にも非常識な主張をする国だということが、この例を取ってもよく分かる。中国との間で問題が生じた場合、中国の理解を得ようとするのでなく、第三者的な立場の国の理解を得ることが重要だ」と述べた。
■浪人日誌
【創新党の党大会、保守勢力の結集を呼びかける】 11月7日(日) 日本創新党の臨時党大会を開催し、山田宏氏が党首に再任され、中田氏も再び代表幹事の指名を受けた。党大会に続く「創新フォーラム」には、たちあがれ日本の平沼赳夫衆院議員、自民党の衛藤晟一参院議員も参加。「こんな時だからこそ、がんばろう」と、日本の保守勢力の結集を改めて呼びかけた。
【実践政治スクールが大人気】 11月10日(水) 党派にこだわらずに、広く国民運動を展開する「日本を創新する会」が企画した実践政治スクールの第1期をスタート。地方議員を目指す人から主婦まで、さまざまな人が集まり、定員の50人を大幅に上回る応募が集まった。反響の大きさに手応えを感じ、早くも第2期を始めることを決める。
【慰謝料請求訴訟で全面勝訴】 11月12日(金) 平成20年12月、横浜市長だった中田氏に“愛人”と称する女性が名乗り出て慰謝料を求めた訴訟の判決が出た。「事実無根」と言ってきた中田氏の主張通り、女性の主張は全面的に退けられて勝訴となった。「当時、飲酒運転や公用車の私的利用などのあらぬ疑いもかけられたが、うそはうそ。はっきりしてよかった」と中田氏。
《中田宏プロフィル》
昭和39年9月20日生まれ。横浜市出身。青山学院大学経済学部卒業後に松下政経塾に入塾した。平成5年の衆院選で初当選。14年には37歳で横浜市長に初当選した。18年に再選。ごみの排出量削減や職員定数削減などを行った。21年同8月に市長を辞任。22年4月、日本創新党を設立し、代表幹事に就任した。
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