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【ドラマ・企業攻防】吉野家、泥沼の“デフレ・スパイラル” 280円裏目? (2/2ページ)
だが、その説明にはかなり無理がある。客数は10・6%増と伸びたが、9月の半分以下に失速。一方で、客単価は13・0%減と9月とほぼ同水準でダウン。客単価の落ち込みを客数増でカバーできなくなったのだ。「前年の反動」は理由にならない。
「物価が下がってもモノが売れず、経済規模が縮小していく」というデフレスパイラルの縮図だ。
これに対し、ライバルのすき家の10月の既存店売上高は23・5%増と9カ月連続プラス。「松屋」も10・8%増と、7カ月連続で前年を上回り、好調を持続している。
すき家は、客数が39・6%増と、9月の31・6%増から8ポイントも上昇。11・6%減の客単価の落ち込みを十分にカバーし、おつりが出ている。松屋も、客数が23・1%増と、9月の19・9%増からさらに伸ばしており、「牛鍋丼で一時的に吉野家に流れた客が戻ってきた」(業界関係者)という構図がうかがえる。
単価アップ課題
吉野家は11月1日に280円メニューの第2弾「牛キムチクッパ」も売り出した。安部社長は「11月には当面、客数で7〜8%、売り上げで5%の押し上げ効果がある」と、ソロバンを弾く。
牛キムチクッパは、「うまい、からい、やすい」がキャッチコピー。牛丼用の肉と自家製キムチにオリジナルスープを組み合わせた。カロリーは414キロカロリー(並盛)で、牛丼(並盛)の667キロカロリーの6割程度に抑え、弱点とされてきた女性客を取り込む戦略だ。
ただ、2つになった280円メニューを注文する客の割合がさらに増え、看板の牛丼が売れず、単価の下落率がさらに広がるのは避けられそうもない。その落ち込みを客数の伸びでどこまでカバーできるかがカギとなるが、牛鍋丼と同様に、“お試し客”が一巡した後は、失速する懸念がある。
「280円メニューは集客目的が強く、利益率は高くない」(アナリスト)とみられ、売上高だけでなく、利益も圧迫される恐れがある。
牛丼以外に複数の主力メニューを販売すれば、「原材料費に加え、店舗オペレーションが複雑になり、運営コストも上昇する」(同)との指摘もあり、ローコストの“牛丼単品経営”の強みはますます失われていく。
客単価を上げていく施策は急務だ。吉野家でも、400円前後の新メニューの開発を急いでいる。かつて「牛丼280円」で外食デフレをリードした吉野家。今度はデフレ脱却からの苦闘が続く。
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