菅直人首相は13日、日中首脳会談に引き続き、横浜市のパシフィコ横浜でロシアのメドベージェフ大統領と約40分間会談した。大統領が今月1日に北方領土の国後島を訪問したことに対し、首相は「我が国の立場、国民感情から受け入れられない」と抗議。大統領は「領土問題はロシアにとっても極めてセンシティブ(敏感)だ」と反論し、経済分野の協力によって関係改善を図る考えを示した。
インタファクス通信によると、大統領は「(北方領土は)我々の領土であり、将来もそうあり続ける」と表明したという。
両首脳の会談は今年6月のカナダ以来2回目。日本側の説明によると、首相は北方領土について「帰属の問題を最終的に解決し、平和条約を締結したい。領土問題の解決を含め、日露の協力関係を発展させたい」と述べ、領土交渉と経済協力をリンクさせる姿勢を示した。しかし、大統領は「特に経済分野の関係を発展させ、両国間の雰囲気を改善させていくべきだ」と経済協力を先行させるよう提案。来年のロシア訪問を招請し、首相は「検討したい」と答えた。
大統領は北方領土問題について、08年11月に麻生太郎首相(当時)と会談した際、「新たな、独創的で、型にはまらないアプローチ」に言及。09年11月の鳩山由紀夫首相(同)との会談でも「独創的なアプローチ」によって解決を図る考えを示していたが、今回の会談では触れず、領土問題を事実上、棚上げする姿勢をにじませた。
首脳会談に先立ち、前原誠司外相もロシアのラブロフ外相と会談。信頼関係を構築しつつ静かな環境で日露関係を進めていくことが重要との認識で一致した。【西田進一郎、大貫智子】
毎日新聞 2010年11月13日 21時32分(最終更新 11月14日 1時00分)